まあ前作監督がDCの看板作品に引っこ抜かれて、あげく代わりに連れてきた スタイリッシュな群像劇を撮れるマシュー・ボーンにも降板されて、さあ、どないしよ、 撮影まで2ヶ月ぐらいしかない、というところで回ってきた超大作を 職業監督ブレット・ラトナー、難なくざっくりと料理してしまいました。 わりとこのざっくり感は良い意味で前代未聞。 なんせダレ場を全部なくして、もう主要ミュータントをどんどんフェードアウトさせていく キャラクタ無視のクライマックス感がなんだかとっても心地よい。 もちろんこの作品の中核である サー・ヘルメットじいさんの鷹の爪団ばりの地味な世界征服活動描写、 (小汚い集会に割り込んで求人をしたり、山中でキャンプはったり)がきちんと盛り込まれた あげくちょっとおじさんすごいんだよ、という見せ場も。 そしてラストもエリックなのでこれはもうスピンオフもよろしくね!的な感じが終始。 あとお天気お姉さんことハル姉さん、今回もあんまり主軸に絡まないけど 無駄にエロい普段着で大活躍。あと吸い取った生命力がどんどん恰幅に反映 されつつあるローグに危機感を抱いたスタッフが投入した新戦力、エレン・ペイジ演じる キティの可愛さが光ったりも。 結局、キャラクタはあんまり掘り下げてはいないんだけれども、前作までの貯金と 「ミュータント能力」という視覚的にわかりやすい特性でそれなりに機能が見えてくるんで そこらへん上手いこと使えてるなあ、と。 シークエンスで換算すると3つしかないんだけれども、エンジェルの最後の 活躍なんかもそこそこグッと来る(まあ落とすところまで持っていく時点で見えるんだけど)。 とにかくポイントだけはきっちり抑えてあとは全部すっ飛ばして 尺をきちんと良い具合に収めてる。 最大の見所はジーン暴走シークエンスあたりのジェノサイド感(しかしあくまでソフトに PGで抑える工夫が垣間見える) とかはなかなかカタルシスあったんで、なんつか ざっくりしてて素晴らしいというあんま普段抱かない感想。 (2006 09/13) |