前半のテンポの良さから後半一転して重厚な雰囲気になるあたり、すなわち この映画のテンポそのものがカポーティの気持ちそのものを非常によく体現していて ラストのほうの陰鬱な気分が乗り移って来るからこれはちょっとすごいと思った。 あと人間関係に一切説明的な描写がなく、 流れの中でかすかに掴めて来る感じも心地よいな、と。 終始カポーティを軸に展開されて、囚人ペリー側の心情描写はあんまない。 その二人のやりとりの中でカポーティが書こうとしているものが何なのか、 またそれに対してペリーが求めてる事、たとえば無罪を主張するにしても どういったニュアンスなのか、そういった部分の描写があんまないので「冷血」を 未読な自分には、もう一つその二人の齟齬の根幹がきちんと感じ取れなかったあたりと ラストでのペリーがあのような境地に至る過程も良くわからんかったあたりが 後々考えるとひっかかるんだけれども、それはそれ、作品テンポから考えると 切って正解なのかもしれない。 とにかく圧倒的なフィリップ・シーモア・ホフマンのオカマぶりだけを2時間見てて 飽きないんだから、これに尽きる。たぶん。 (2006 10/27) |