監督:ジェイソン・ライトマン
 邦題「ニコチン・ウォーズ」という小説が原作のタバコ業界のスポークスマンを描いた
コメディ気味ドラマ。

 落としどころが綺麗にまとまっていて、これを温いと取るか「めでたしめでたし」と
取るかでわりとニュアンスが違うんだけれども、一つテーマはきっちりとアシッド。
ただそこに教訓やら説教臭さは付随してなくて良い具合の結論を出してるあたりが
この作品の良いところだと。

 それを引き出す為に並走する親子ドラマなんだけれども、これはひょっともすると
ネガティブ要素になりかねないんだけれども、今を時めくキャメロン・ブライト坊が
この鍵となる役をきっちり演じているので歯車が噛み合った感が。

 不敵なアーロン・エッカートが素敵なのはもちろん、ウィリアム・H・メイシー、
ロブ・ロウ、サム・エリオット、ロバート・デュバル等々の名演、怪演を見る事が
出来るだけでもわりと楽しい。

 言葉のやりとりの面白さってのは、その裁判劇的に大きな波があるわけでなくて
あくまで交渉の巧妙さ、相手の懐に飛び込んで本音を引っ張り出す感覚が地味に
心地よくて、最初のTV討論、マルボロマンとのやりとり、そしてラストの公聴会と
ここら辺の出来はあまりに素敵。伝わってるって事は字幕もがんばった感が。

  ただ見た劇場のせいかも知れんのだけれども終始画が汚かった気もする、
TV映像画面をけっこう使ってる部分も多いのでそのせいもあるんだけれども。

 あと、タバコパッケージを模したタイトルバックが秀逸。きちんとクレジット部分が
わかるよう設計されたタイポグラフィに心打たれた。

(2006 10/27)

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