監督:ジム・ジャームッシュ
 ビル・マーレイ主演の2005年のカンヌのグランプリ(審査員特別賞) 作品。

 ビル・マーレイにジャージ着せた時点でわりと完璧で、ジャームッシュは
この「見立て」を誤って異臭を発する事が多々あるんだけれども、おそらくは
そういったもろもろの揺らぎも現在のビル・マーレイの完成度の前には
たいした事ではないというかそういう勢い。

 監督の「間」が主演とあまりにマッチしている、というのがこの傑作の生まれた
主因で、『コーヒー&シガレッツ』のラストエピソードの時にそれは沸々とは感じて
いたのだけれどもここまでとは。終始たまらない、としか言いようがない。

 その朴訥オヤジを囲むメンツも素晴らしいんだけど、こういった豪華キャストが
映えるのも結局は軸がしっかりしてるからであって、どっから切ってもこれ
ビル・マーレイ絶賛にしか行き着かない仕様。流れはおおまかロードムービー。
一応、ミステリーとしての側面はあるんだけれどもそれさえもドンのキャラクタを
引き立てるためのフェイクでしかないので、特に構えて見る事もなく。

 ラストはどう持って行くのかが不安だったのだけれども、
間延びしないでバッサリ切ったあたりがまた良かった。
 
(2006 05/12)

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