ビル・マーレイにジャージ着せた時点でわりと完璧で、ジャームッシュは この「見立て」を誤って異臭を発する事が多々あるんだけれども、おそらくは そういったもろもろの揺らぎも現在のビル・マーレイの完成度の前には たいした事ではないというかそういう勢い。 監督の「間」が主演とあまりにマッチしている、というのがこの傑作の生まれた 主因で、『コーヒー&シガレッツ』のラストエピソードの時にそれは沸々とは感じて いたのだけれどもここまでとは。終始たまらない、としか言いようがない。 その朴訥オヤジを囲むメンツも素晴らしいんだけど、こういった豪華キャストが 映えるのも結局は軸がしっかりしてるからであって、どっから切ってもこれ ビル・マーレイ絶賛にしか行き着かない仕様。流れはおおまかロードムービー。 一応、ミステリーとしての側面はあるんだけれどもそれさえもドンのキャラクタを 引き立てるためのフェイクでしかないので、特に構えて見る事もなく。 ラストはどう持って行くのかが不安だったのだけれども、 間延びしないでバッサリ切ったあたりがまた良かった。 (2006 05/12) |