監督:田崎竜太
 1999年以来、7年ぶりのガメラ復活。監督は東映特撮、特に平成ライダーで演出
を手掛けてきた人。初の角川ガメラ。

 どうにもラストのセリフだけが腑に落ちない。いらないor逆でしょ、あれ?

 とにもかくにもガメラが恵まれているのはキャラクタそのものに縛りがあんまり
ないというか動かしやすいというか、結果、前3部作で完全に特撮ファンの嗜好品
となってしまったガメラが子供にきちんと返されてしまった感じ。

 このフレキシブルさがガメラの魅力という総括ガメラ論。で、今作なわけですが
湯浅ガメラをまっとうに作ればこうなるんではないかと思うような堅実な出来。
ただそれが良いかと言えば別問題。というか湯浅ガメラのミラクルともいえる
ファンタスティック加減は決してバカにしてよいものではなくて、あれはあれで
本当に素晴らしい作品だと思うわけで。

 で、まああまりにスタンダードに子供を主役にして小亀との出会い、交流をさくさく
と田舎の景色をバックグラウンドに描いて、途中からきっちり怪獣映画。
特筆すべきはジーダス登場のシーン、もう完全に54年ゴジラ。仰瞰で山から
にゅっと顔を出すタイミングが素晴らしく、ここはもう手放しでバンザイ。
あと捕食シーンも良い。これはお子様には良い原体験を与えるに違いない。

 以降特撮シークエンスはなかなか見せてくれて、あんま期待してなかったぶん
ちょっとうれしくなったというか。得した感があったというか。

 終盤は子供たちとガメラの共闘というのがわりとヌルく描かれて、
ここら辺ちょっとテンポが微妙なんだけど、逃げ惑うモブの動きがかなり本気なのが
好感度高い。特に地下街の描写とかが。クライマックス目前とかもどうにもセリフ
の部分がまだるっこしいんだけど、まあこれは子供向けだからこれぐらいくどくても
感覚的にはちょうど良いのか、と思った。

 何にせよ突出した感もなくそれなりにストイックに仕上がってるので、印象は
あんま深くないんだけど、「怪獣映画」の部分はそれなりに楽しめた、という感想。

(2006 05/13)

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