確固たる作家性、何よりもそれをきっちり映画として創出しえる手腕、 やっぱちょっとすごい人が現れたんだなあと、そう感じた監督:中島哲也の確定作。 こういった拡大公開系の作品でここまでベクトル持った作品作れるというのが 不思議なんだけど、ここら辺はクライアント言いくるめるCM畑の人のみ使える魔法か 何かがあるんだとしか思えない。 さておき話はとてつもなく重いんだけれども、きっちりコメディ・ミュージカルの 中に埋め込まれているというすごい仕様。この重さと軽さのスイッチの切り替えが 絶妙で、何かこう感情を手でまさぐられている感じでうわすごいなあ、と。 特に前作同様、固有名詞をピックアップするタイミングがきっちりと要所要所で。 まずは序盤とあとは終盤手前のちょっとダレそうな場面でこの飛び道具を使う もんだから、特に後半のやつは場内沸いてたなあ。20代後半は間違いなく ガッチリ掴まれる素材。それを今の発酵具合をきっちり掴んで放り込んでくる このセンス(原作がそうだったらそれがすごいんだけど) 手法は凝ってるんだけれどもそれが流れで浮かない映像のディティール、 音の鳴るタイミング、そこら辺も気にならないレベルで完璧でなんつかもうわりと 唸るしかないなあと。 ただ濃度が強いぶんそれなりに好き嫌いは出ると思った。 揺さぶられた感情の置き場がみつかんないと気持ち悪いかもしれない。 ライトに見えるんだけどなかなか痛烈な作品ではあるので。 (2006 06/21) |