監督:トミー・リー・ジョーンズ
 2005年のカンヌ映画祭最優秀男優賞&脚本賞受賞。トミー・リー監督はこれが
初の劇場用長編監督作品。

 そこまで大きなベクトルを持ってるわけではないんだけれども、終始きっちりと意図
されてる感が心地よく、まだトミー・リー色というのは良くわからないのだけれど
一つ何か確信的な作家性を持って臨んでるのはよく伝わってくる。

 おおまかに2パートにわけれるんだけれども、前半の構成が巧妙で
時間軸を無視してシークエンスをバラバラに展開して進めていく豪快な流れ。
でもこれが特に説明なくても、一つ一つ見ていく内に理解できる仕様なのが
ギジェルモ・アリアガ脚本の魅せる部分。

 後半パートは主にロードムービー、ここはけっこう見せ倒すシークエンス満載で
一つ一つの流れを鮮明に思い出せるぐらい印象深い。全てを語るわけではなく、
全てを見せるわけでもない、映画として要る部分を確実に選択した演出というのが
あって、これがあまりにも心地よい。それに尽きる。終盤わりと堪らない。

 プロットだけならなんでもない、こういうインディペンデント系だったらありそうな
話ではあるのだけれども、映画になる段階で化けた感がある。

(2006 05/12)

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