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上のほうから新しい。

<2003>

監督:アンドリュー・スタントン
    リー・アンクリッチ
ピクサー製作フルCGアニメ海洋系。03年度全米興行収入1位作品。

こんな涼しげな映画を正月映画にするなと。
夏場の涼しい映画館で見たら、また格別なものだったんではないかと。

そんな作品外の状況でさえ悔いてしまうほど面白い。
ぐうの音も出ないぐらいに。
老若男女問わない作品でありながら、その底辺の広さが往々にして
弊害として持ち合わせる窮屈さのようなものを感じさせないのが素晴らしい。

なんつか演出面とストーリーのテンポにおいてクドさが全くない。
間を与えず、さくさくと明快にストーリーが進行していくけれども、
それなりに展開が読めないから、単純に話を追っているだけで楽しい。

ただ特筆すべきは個々のキャラクタで、決してアイキャッチに優れたとは
言えない造形のこの魚達に、ディズニー謹製が持ち得る(と個人的に感じる)
気味の悪い空洞感ではなくて、丁寧な人間味を感じるあたりが
何か決定的なものになってるような気がする。

ニモの片ヒレが小さい、それだけの要素をキャラクタに付加するだけで
それに対する言及が行き過ぎない演出とか、父側とニモ側のシークエンス
の切り替わるタイミングとか何もかもが心地良い。

何も考えずに、万人に薦められる作品

(2003 12/19)
監督:レン・ワイズマン
ケイト・ベッキンセール主演。監督はエメリッヒ作品等で美術を担当した後、
MTV、CMで活躍、今作が長編作品。

暖色全くなしの落としたゴシックホラー的色調で展開されるんですけれども
その演出面やらは昨今のワイヤーワークぎみだったりタイムスライスぎみ
だったりで、やや斬新ではあったりするんだけれども、単純に画が暗いので
状況が見えにくい、という感想。

特に後半アクションが激しくなってカットワークもそれなりに激しくなると
ちょっと何がなにやら。

ただケイト・ベッキンセールビシっと決まったボンテージが兄ウォシャウスキーを
彷彿とさせる似非マトリックスと思いきやそうではなく、この映画の持つ
プロットってのがまさしくクラッシック。

対抗する二つの勢力。そして組織の新リーダーに疑惑を抱く女殺し屋、
そして何故か対抗勢力から追われる男と出会い、そして恋に落ちる、
しかし彼には重大な秘密が・・・みたいな、もうそのヴァンパイアVS獣人という
体裁はあるものの、実際はマフィア映画でありロミオ&ジュリエットであり、
まさにそんな感じの結末に向かっていくわけで、普通にそれなりに面白いなあ、と。

ただ演出面が、個人的にはちょっとなあ、と。
ライカンが襲ってガバーって来たところでシーン終了みたいな、演出、
何回も使われると笑えてくるわけで、どっちかっつーとその方向でおもしろいのは
作品の雰囲気からして違うなあと 。

いや確かにヴァンパイアがデジカメで撮影したり
インターネットで調べものしてるのは面白いですけど。

ラストの最強対決みたいな感じはかなり格好良いです。
幕引きもきちんと次回予告ぎみで素敵。

なんつかも少しバランス整えば、かなりおもしろい作品になったんでは
ないかと感じるだけに、抑えるなら抑える、弾けるなら弾ける、つ感じが
良かったのではないかなあ、と。

エメリッヒ側から来たなら、抑えるのは無理だろうけれど。

(2003 12/10)
監督:今敏
今監督長編3作目。マッドハウス製作。音楽は鈴木慶一。

えーと。あんまり過度の表現ていうのはうそ臭いので嫌いなんですが、
「素晴らしい」とか「最高傑作」とかそいった類の作品です。

今監督の持つ映像の疾走感ていうのは毎度ながら、川に足を浸してるような
直に流れのようなものを感じられて心地良いんですが、今回はその
上げ幅が非常に静かでそれでいて熱い。

そのキャラクタとか絵に好き嫌いが出ると思うんですが、
それは序盤でだいたい慣れてしまって、後半は物語に完全に取り込まれてしまいます。
全2作は、わりと現実と虚構のボーダーつのが曖昧だったのが、
要素として良く働く反面、とっつき難さをやや出してた感があるんですが、
今回はそこら辺きちんと区切って(偶然とは言えないレベルの偶然は続くんですが、
それは有り得ないことではないので)物語が地に付いている。

赤ちゃんを拾ったところから始まって、その親の捜索過程で
主人公達の過去を丁寧に拾って行って、それがまた後半で転がるあたりの
素晴らしさ。そしてベタベタの人情劇でドドーっと締まっていくことの心地良さ。

あー、こりゃかなりいいなあ、と。

(2003 12/09)
監督:デヴィッド・ドブキン
『シャンハイ・ヌーン』の続編。監督は前作のトム・ダイに代わって、これが長編2作目の
デヴィッド・ドブキンに。相方オーウェン・ウィルソンはそのままに、ヒロインにファン・ウォン
敵役にドニー・イェンを迎えての御大映画。

これはここ最近の御大の映画では面白いほうなんだけれども、
そのここんとこ数を重ねて行く内にやっぱり何かが少しずつ減ってる
感じがして、少し悲しくなったりするのが正直なところです。

んー、なんつか、まあ、愉快な曲芸があってアクションがあって
お色気(あくまでこの表現がベスト)があって、高所があって、
そしてNG集。いやもう形式美の段階まで来てるような、来てないような。

このシリーズ通して音楽が無駄に壮大なあたりが、ちょっと浮いてておもろいのと
今回はヴィクトリア王朝時代が、それなりに再現されてておもろい、つのが
その形式以外の見所。あと小技が効いてる脚本ではあるんだけれども
基本的には大雑把。まあ気にするだけ野暮なわけで。

どうにも残念なのがドニー師父の使い方が化けて出る勢いで勿体無い。
んー、棒持って構えた瞬間に鳥肌が立ったんですが、その後のアクションは
あくまでジャッキー・アクションで、やっぱりちょっと合わない感が否めないなあ、と。

NG集見てても、何かやりにくそうなドニー先生を見ると居たたまれなくなってきます。

一般的には、まあまあで。御大ファンにはちと物足りない出来。
前作見てなくてもあんまり問題はないです。

(2003 12/3)
監督:黒沢 清
役所広司主演。第8回釜山映画祭のオープニング作品。

あー、ストーリーは特にホラーではないんだけれども、いつもながら
構成とか画の作りとかが完全にホラーというか不気味というか。
んー、なんでここまで落ち着かない映像を意図出来るのか、というのが
唸る部分なんですが、今回もそんな感じで。

毎回思うんですが、黒沢映画のキャラクタの服装ってのが何かとても
違和感があるんですけれども、今回も役所広司演じる研究者のだぶだぶの
格好がとても気持ち悪いので、ああ、いいなあ、と。

ユースケ・サンタマリア演じる君島の登場する微妙なタイミングとか。
永作博美演じる由佳の微妙なエロさ具合とかが全部不気味。
映像から発する情報の全てが何か「そうであるけれども、少し違う」感じ
を放っていて、それが作用して不安のようなものが想起させられる。
その直接的な部分ではなくて、何か無意識の部分に作用している
感じがするのが、個人的には好きでたまらないんですが。

個々の映像表現が一筋縄ではないので、それなりに好き嫌いが
出るとは思いますが、話しはいつもよりか綺麗に進んで、綺麗にまとまって
いるので門戸は少し広めではあるなあ、という感じ。
ただそのぶん脳にキューっとくる解放感にやや欠けるっつのはあります。

(2003 11/21)
キル・ビル vol.1
監督:クエンティン・タランティーノ
タイトルバックで「The 4th Film by Quentin Tarantino」と出る勢いでわかりやすい
タランティーノ監督第4作目。尺長すぎて2部構成、天下のミラマックスでやり放題。

いわばタラ先生が今まで見た膨大な数の「面白い映画」、その中でもキワモノ
スレスレの部分を全部引っこ抜いてきてそれをダダダっと並べたわけですが、
それが混沌とせずに、きちっとまとまってる上にヒネりまで効いてるわけで、
そう、その元ネタであろう作品達が持ち得たB級としての素晴らしさを
余すことなくオマージュ出来ている快作であり怪作であると感じたわけですよ。

後半、水芸のごとく飛び散る血飛沫の勢いってのがこの作品の勢いそのもので
何よりも監督のテンションそのもの。いわゆる「イエー!」であり、そういうこと。

個人的に感じたのは役者陣のこの作品に賭ける温度差の違いがとても
表に出ているあたりが良いなあ、と。かなり主観ですが、簡単に言うと
ユマ姉→必死 ルーシー姉→余裕 ソニー→勘違い 栗山→精一杯がんばりました
というのがVOl.1の勝手な印象。つかこの感じがそれぞれのキャラクタに
良くマッチしている気がしてとても良いのですが。

特にソニー千葉の出てくる沖縄の場面は完全に千葉空間で大葉健二との
やりとりとかもうウマ姉置いてけぼり。

笑えるっつえば笑えるんですが、それがギリギリのところでカッコ良い、と交錯する
時の感覚の心地よさっつーのはこの上ないと、タラ先生にご享受頂けるわけです。
笑ってしまうほどカッコ良い。そして、その一方泣けるほど格好良いシーン、個人的には
ルーシー演じるオーレン・イシイが雪の中、白い着物で刀を構えた時に、
サンタ・エスメラルダのラテン系のパーカッションが鳴り響くいた瞬間、涙腺に
何かが押し寄せました。ああ、こういう組合せがあるのかと。

そゆ感じで個々の打たれどころは違うと思うんですが、何か無駄に人生の時間を
「名作ベスト100」にはどう考えても入るはずのない映画に割いてきた人間には
どこかしら心打つ作品ではないかと思います。

(2003 11/21)
監督:ロニー・ユー
つことでニューラインシネマがパラマウントからジェイソンを金銭トレードしてはや10年。
やっとこさ実現したドリームバトル。監督は香港出身のロニー・ユー氏。
『チャイルド・プレイ/チャッキーの花嫁』 から『ケミカル51』、そして3作目でこの大抜擢。

何よりも素晴らしいのが、二人の新人脚本家、ダミアン・シャノンとマーク・スウィフトが
書いた、両キャラクターを丁寧に汲み取ったストーリーであると感じたわけですよ。

それにロニー・ユー監督の変なダイナミズムが調和して、こういう企画モノくさい
映画にしては異例の完成度の高さを感じる出来になってます。マジで。

序盤に両キャラクターの背景を、それなりに過去の作品の映像を交えながら
説明するくだりはうろ覚えのインパクト映像を再起させてくれて、ああいいなあ、と。
何よりも、この作品世界が、あの二つの作品世界ときちんと繋がっている
という感覚がとても楽しい。(宇宙に行ったのは無視くさいですが)

フレディがエルム街の人に完全に忘れられてる、という設定が笑えますが、
それをジェイソンを使って思い出させようという作戦も笑えます。
あげく予想通りジェイソンが思ったとおり動いてくれないのがさらに笑えます。
フレディさんは色々考えるけれども、ジェイソンくんはボサーと本能のままに
進んでいるような感じ。
その過程でおびただしい数の人間が多種多様な方法で殺されたりしますが、
誰一人感情移入出来ない主人公達なのであまり悲痛感はなかったりします。

その冒頭から全裸の女の人が泳いでいたり、出てくる女性人が全員胸でギャラを
稼いでいるような勢いのキャスティングなあたりが素晴らしく王道。

演出的にはフレディの、どこからが夢かわからないあたりのいつもの感覚とか
ジェイソンの圧倒的な力技とかがいい間隔で現れて飽きない感じで。

まあなんかジェイソンくんは人間側にも有効活用されたりで、割りと鍵な
わけですが、いかんせん何を考えてるか良くわからないのでいいなあ、と。

終盤のへヴィメタがガスガス鳴ってるバックでの対戦つのはそれなりに
燃えるなあ、という感じ。締めはきちんと転がっているし、そしてエピローグが
全くないあたりも素晴らしい。この映画に求められているものがきちんと
わかっている感じで。

ラストシーンは諸説あるけど、個人的には「寿司でも食いに行くか!」という
ハッピーエンドに思えて仕方がなかった感じで。

(2003 11/10)
監督:アンドリュー・ラウ&アラン・マック
第22回香港電影金像奨を『HERO』と分け合った作品。
トニー・レオン、アンディ・ラウと二大スター共演ぎみ。

緊迫感がダレることなく最後まで続く快作。
普遍的に完成度が高い、という感じ。
久々に心拍数が上がる感じの高揚があったり。

警察側とマフィア側にそれぞれのスパイが潜入していて、
それを双方が必死で探るつープロットで、細かいとこが粗かったりも
するんだけれども全体の流れがほぼ完璧で、余韻を残す幕引きも
とても良い感じ。スケールとかは大きくないんだけれども、
その作品としての一体感はこの上ない勢い。

個人的に素晴らしいと思ったのはキャスティング。
アンディ・ラウとトニー・レオンの二人がまず軸として明確で
その対比も各人の面構えがバッチリハマっている感じで。
そして二人の上司に当たる警視役のアンソニー・ウォンと
マフィアのボスのエリック・ツァンの素晴らしいまでのオッサン力が
物語に深みを与えている感じ。オッサン最高。オッサン万歳。
ああいうオッサンになりたいなあと思う勢い。

あとOPがCGバックに壮大な音楽なのと、
EDの曲が主演の二人がそれぞれの役の気持ちを歌っている
ムード歌謡なあたりが、ああ、香港映画だなあ、と思った。

(2003 11/7)
監督:ラリー&アンディ・ウォシャウスキー
『リローデッド』から半年、異例のスピードで届いた三部作完結編。
全世界同日、同時刻上映という形式を強行出来る超大作。

とにかく面白い。色々な意味で面白い。

とりあえず「考えるな、感じろ」というのは正しいけれども、
それならこれだけ考える余地を与えるのはとても悪質だろうが、
と思うし、そして毎度ながら感じる間もなく叩きこまれるわけですよ。映像を。
ただそれが全くイヤな感じでないのが良いなあ、と。

リローデッドの時のペースってのは
おはなし→お楽しみ映像→おはなし→お楽しみ映像
だったんですけれども、このレボリューションズは溜めます。

すなわち前半がひたすら対話パート。また色々含みがありそうで
あんまりないような気もすることをダラダラダラダラ言うわけで
朝イチなんかで劇場に乗り込むと、集中力との闘いになるわけです。

で、ザイオンのドックに機械イカが突入しだしてからが大変。
『スターシップトゥルーパーズ』に勝るとも劣らない勢いの人間VS人外の
大戦争スペクタクル映像。ここら辺から音楽鳴りっぱなし、脳内湧きっぱなし。
んでそのままダーっと畳み掛けて、スミスとの決戦とかも、今まである程度
脳内では想像してたものの実際見たことはなかった映像、のようなものを
ダダーンと叩きつけられて、んで終わって行くわけで、ああ、すごかったなあ
とか劇場を後にして10歩ぐらいたったところで、

誤魔化された!

と気づくわけですが、実際うやむやにしたとかそういうのではなくて(そういう
部分もある気もしますが)皆まで語らなかった、という好意的な受け止め方
で良いのではないかなあ、とか。幕引きは非常に綺麗ですし。

んー、描写が足りないのは機械の王様とのやりとりぐらいかなあ。
あそここそもうちょっと言葉が回ってる感じの会話が欲しいな、と。

あとタンクの件は黙殺したあげくパンフに「殉死」で済ませたけれど、
さすがにオラクルに関してはそれなりのこじつけがこじつけっぽく描かれてるので
どうせなら外装はオバサンではなくて、美少女にするのがヲタク的思考だろうに。
わかってないなあ変態兄弟のくせに、などと遺憾の意。

とにかく3部作を通して、映像感覚においては圧倒的に楽しめたので
それに関しては過言でなく歴史的、と言っても良いのではないかと思った次第。

(2003 11/07)
監督:スティーブン・ノリントン
ショーン・コネリー主演・製作のアメコミ系ヴィジュアル・ノベルの映画化。
監督ノリントンとコネリーは最終的には完全に仲違いした問題作(違う意味で)

最終的にコネリーが編集で権力をふるった、とのことなので
コネ爺の編集センスが明かに疑われる作品になりました。
とにかく各シークエンスの尺のバランスがこの上なく悪い。

19世紀末、闇商人「ファントム」が世界を戦争に陥れようと暗躍していた、
それを察知した英国情報部はヒーロー達を集めてそれを阻止しようとする。
みたいなプロット。いわばオールスターのような。

その当然みんな知ってるっつー前提は、とりあえずありつつもある程度説明して
くれてもいいんじゃないかなー、と。
とりあえずアラン・クゥオーターメインて誰?な感じなので。

ま、それは己の無知を呪うとして、基本的にこの超人紳士同盟のみなさん
うっかりしすぎです。 「コネ爺!うしろ、うしろ!」とか言いそうになるぐらい。

困った事に、敵側のファントム一味もみなさんうっかりぎみで
そんなちょっと微笑ましい集団が世界の命運を賭けて闘うわけですが、
もちろんそんなスケール感は微塵も感じられないというか。

特に超人同盟のみなさんは誰一人明確なモチベーションを発揮せず、
そのくせ疑り深いという人間的にもアレな連中 。

特にネモ船長。突然白装束でカーリー神の像を崇拝、
ヴァンパイア女史、ミナ・ハーカーに「あいつヤバいわ」と不安を抱かせたり、
たまたま館内で発作気味のジキル氏に「おまえ危ないからやっぱり殺す
と自分の船に乗せといて言い出す始末。こんなやつ船長でいいのか。

あと敵も味方も解決の方法がだいたい爆破で、街が爆破されるからヤバいとか、
それなら爆破すればいい、とか、もうひたすら決め手が爆破
序盤から大爆発ではじまるわけですが、この映画。

ただ、ノリントンが精魂込めたと思われる、アクション部分が素晴らしいので
そこら辺のみ必見。独特の殺陣を映像にする手法を持ち得てる数少ない
監督だと思います。如何せんその他の部分はざっくりですが。

EDシークエンスを考えたのがコネ爺だとしたら、なんとかシリーズ化
したかったんだろうなあ、とかそんな感じで、
ノリントンならば、やっぱりアホだなあ、という感じ。とても良い意味で。

キャラクタ映画なのにキャラクタライズに失敗してるあたりが
マイナス要因なんですが、それなりにヴィジュアル特化はしてるんで
目は飽きない感じで。

(2003 11/1)
監督:リドリー・スコット
ニコラス・ケイジ主演。アリソン・ローマン、サム・ロックウェル共演。
製作総指揮がロバート・ゼメキスだったり、音楽がハンス・ジマーだったりで。

リドスコ新境地というか、思い出すにこういうあんまり人が死なない映画
ってめずらしいなあ、みたいな感じで個人的には新鮮。

ニコラス・ケイジ演じる天才詐欺師のもとに突然14歳の娘がやってきて
パパもう大変!みたいなメインプロット。
ふと田村正和の「パパはニュースキャスター」とか思い出すのは激しく間違い。

てか、予告でさんざんまくし立てた通り、これは全部オチへの布石で
まあいわゆるひっくり返し系の映画。

いわばこれは見抜かせない為の観客との勝負なわけで、大人気ない事に
リドスコは手抜きナシで騙し演出にチャンジぎみ。まずなによりもカット数が
鬼のように多い。一方が話してる間に切り返しを畳み掛けまくり。
安っぽい思わせぶりカットも皆無で、ひたすらハゲと小娘のやりとりを
テンポ良く押し進めていくあたりが最強ぎみ。

時間軸ではそのカット数上げで、そして画面上では得意のリドスコ要素
「スモーク」及びそれに近いものが大活躍。
目立った煙っつーのはタバコぐらいなんですが、それ以外に画面内をちらつく
不定形要素は、ブラインドから入る散光、車の窓への風景の映り込み、
そして極めつけは家のプールの水面の反射とか、とにかく画面内に何かが
踊っている感じ。

そこらへんの要素がそれなりに画面内の情報を飽和させて、
知らないうちに物語に騙される仕組み。
そんなにガツンとはこないんですが、それなりに、ホー、と。ホー。

アリソン・ローマン、20カットに1回ぐらい可愛く見えるぐらいの微妙さで
なかなか渋い人選だと思いました。
あとニコラス・ケイジは素晴らしすぎ。

ラスト手前、ずがんと空撮で、ハンジマ節が流れた時に「大成功」みたいな
勢いがちと心地良かったんですけど、どういう映画でもこういう変な壮大感で
締めれるリドスコはさすがサーだなあ、とかそういう感じ。

エピローグは微妙。ただこれがある種救いならば、少し悪質だなあ、と。

(2003 10/31)
監督:カオス
アントニオ・バンデラス、ルーシー・リュー主演。監督はタイの新鋭、カオス。

タイから来たウィッチ・カオサヤナンダくんは、どうやらハリウッドを震撼させる
新進気鋭の発破系監督です。

「え、マジ?ハリウッドってこんなに火薬使っても大丈夫なの?」
という勢いで物語内でけっこうな勢いで爆発がおこります。
はじまった途端何の前振りもなく車がドカン。観客6割がビクリ。
クライマックスに到っては、おそらく向こうの消防法でもギリギリだと思われる
大爆発がおこりますよ。 2、3回。

そんな冬場には見ているだけで暖かい映画ですが、見所はそれだけではなくて、
ルーシー姐さんです。強すぎです。格好良すぎです。プロモーション映画かと、これは。
対してバンデラスはあんまり活躍してたイメージがないなあ。

レイ・パークを起用している時点で、もうこれは最後は間違いなく肉弾戦な
わけで、この人の蹴りの美しさを良くカオス監督は理解しているようで
そこら辺の個々の要素はきちんと魅せてくれる感じで。

一つ難点があるとすれば、おそらくこの映画、ストーリーは監督の頭の中で
完全版があると思うんですが、その断片しか映像化されてない気がするんです。
それなりに話は繋がってるんですが、
子供を誘拐された母親が家を出て、水族館でジュゴンを見てたり
するシークエンスは、何の説明もないわけで、かといってそういうものでも
ないわけ
で、この後話がつながるから、まあ、そうかな、と思わないこともないわけで。

あとおそらくロケーション優先で撮ってるので、画の繋がりも希薄なんですが
基本的にそんなこと気にする作品でもないので。

いやでも、ガスガス音楽が鳴ってて、ドガンドガン爆発してるだけでも
それなりにおもしろいなあ、とか。

(2003 010/12)
監督:本広克行
大ヒットテレビドラマ劇場版その2。もちろん大ヒットで国内実写の興行記録も更新。

ディティールよりもその全体の流れ、作品の持つ空気、キャラクタの動き、そこら辺を
きちんと特化させて、テンポ良く繋いで、決める部分はガっと決めると、これが
心地良くまとまって最初にテーマ曲そして、
最後にあの曲が流れた時点でわりとOK、という感じの作品。

今回は、言わば「事件」の部分ははっきり言ってどうでも良くて、その事件において
展開される警察内部のゴタゴタ(所轄とホンテンの関係)にほぼすべてが集約
されるわけで、そのこの本作の「敵」としてありえないほどの悪質なキャラクタ
ライズを施される真矢みき演じる沖田本部長がこれまた素晴らしく機能的。

特に徐々に悪態がエスカレートしていく様がピークに達して、室井が
戻ってくる展開の爽快感や尋常でない勢い。むしろここで終わっても良い勢い。

タイトルバックでお台場紹介アニメからスクリーンが広がって、
ヘリをなめての空撮、という丁寧なハリウッドブロックバスター的OPから
はじまって、全編物語が動く時はお馴染のBGMがガンガン鳴って、
言葉を聞かす部分は、キチっと止める。この配分があざとくなくて、ああ、
こりゃいいなあ、と。あと前作もそうだったんですが、
画内の人物配置がカチっと決まってるあたりが黒澤映画を彷彿とさせる
勢いで素晴らしいと思うんですが。ロゴとかポスターから見ると良くわかるんですが、
ものすごいシルエットを大切にしてるんですね、この作品。

その根本の「事件」と「犯人」と「解決」の部分はツッコミどころしかないんですが、
それもなんか特に力入れて空回りしてる感ではなくて、それはあくまで
本筋を動かす為のそれなので、という感じで描かれてるので、特にマイナスに
なるほどではないなあ、と個人的に。

前提は要求されてるんだけれども、
その要求を満たしてる人間は基本的に満足出来る完成度。

(2003 10/12)
監督:ヤン・デ・ボン
前作でハリウッド女性主役映画で歴代No.1とかいう記録を打ち立てて、帰ってきました。
しかも監督ヤン・デ・ボン。全米興収はやや低め。しかも中国で上映禁止。

全く期待を裏切らないヤン・デ・ボン映画。
ただ、ヤン・デ・ボンはあんまりペース配分を考えないために、
『スピード2』 みたく終盤インフレぎみになったりすれば最高なんですが、
今回序盤に力入れすぎたのが鑑賞後感を悪くしている要因。

タイトルバックが最高の勢いで、パラマウントのロゴを海に沈めてしまった
あたりで「おまえらこの映画はヤン・デ・ボン映画だ!バカ以外は帰れ!」と
言ってるようで号泣。一生ついて行きますと心で叫ばざるを得ないシークエンス。

海からのロングショットがぶわわーと、ギリシアのとある島の物語とは何の関係ない
の結婚式場に寄っていく無駄な超移動撮影。やった!バンザイ!

そして突然起こる地震!関係ない結婚式の人達に降り注ぐ岩石!
岩石はおむすびみたい転がって海にドボンドボン!その泡沫溢れる海中で
タイトルロゴずがーん!!うわ!意味不明!最高。

とかこの時点でこの映画100点満点なんですが。

もちろんトゥームレイダーという映画なわけで、前作と同じくこの映画に
関してララ・クロフト以外の女性はおばあさん(しかもセリフは二言ぐらい)
ぐらいしか出てこないわけで、もちろんジョリ姉バンザイバンザイな内容。
サメも殴って言う事聞かす男前っぷり。

ストーリーはパンドラの箱を追って、悪い科学者と取り合いイエー。みたいな。
その1行のシナリオで撮ったんではないかという内容。

ララのパートナーとして登場するテリーも結局はララの引き立て役以上の働きは
まったくしないあたりも完璧。

特筆すべきは終盤いきなりクリーチャーが悪い人達をバクバク食べ出すステキな展開。

ラストの「生命のゆりかご」の無重力描写は2001年宇宙の旅のディスカバリー号の
内部のオマージュだと、とてもわかりにくいことをするヤン・デ・ボン節。

イヤ本当に好きです。
中途半端にきちんと作るぐらいなら、これぐらい壊せば逆に作品として光ってると。

ただおそらく次はないかと。

(2003 9/23)
監督:スパイク・ジョーンズ
『マルコビッチの穴』コンビ、スパイク・ジョーンズ&チャーリー・カウフマン再び。
またもや各映画祭騒然。アカデミーは4部門ノミネート。助演のクリス・クーパーが受賞

何にも先入観なしで見ると、もろもろ変なところはあるんだけれど
普通の話に見えるところがスパイク・ジョーンズのすごいところで、
この映画、映画外の予備知識が激しく機能して、見ている人間を混乱に
落とし入れるという構造。

すなわち、この物語が、たった今進行している物語そのものを作り出す過程を
描いている、ということはチャーリー・カウフマンが本作の脚本家であるという
ことを知らなければ、気づかれないことで、気づかないなら気づかないで楽に
見れるんだけど、面白味が減るというか。

んで、そのノンフィクションがベースではあるんだけど、実際にはいない人がいたり
そして後半は完全にフィクションへとシフトしていくあたりがこの脚本の特徴。

「ハリウッド的な脚本にはしたくない」と言い放ちつつ、
最終的にはハリウッド的な「要素」は盛り込むものの、
それがとてつもなく淡々と描かれているあたりが脚本と演出の阿吽の呼吸。

普通だけど、変なので、おおよそ何か既存の言葉でくくるのが困難な勢い。

ラスト、カウフマン兄弟が身を隠しながら愛について語るくだりは、
言葉は泣けるんだけれども、状況と二人のニコラス・ケイジというヴィジュアルを
考えると笑えるので、感情が不整脈ぎみに働いてすげえ、と。

なんにせよ、普通なのに突出した作品。かなりすごいと思うんだけれども、
それを声高に煽るのもなんか違う気がする作品。

あとスパイク・ジョーンズは疲れた女性を撮らすと素晴らしいです。

(2003 09/23)
監督:マーク・ロック
アルバトロスが掘り出して来たキワモノ系。英国映画だけれども、初期コピーに
「全世界で上映禁止」とかあったんですが、ただ上映されてなかっただけみたいで。

いやこれマジな話ラブロマンスなんですよ。
そのエビを通じて、愛を知る孤独な男のストーリー。

大きくてチープな甲殻類が、そのヴィジュアルで笑いは誘うんですが、
いわゆるその「エビ」そのものはもろもろの起因材料でしかなくて、
根本的にはその周りの人間ドラマ、と言い切れるほど話が強いわけでも
ないんですが、そういう感じなんです。

なぜならエビは一度もリングに上がらないわけで、
ていうかボクシングそのものあんまり関係ないわけで、
アルバトロスめ、な、いつもの感じなわけなんですが、
ただこの映画、まぎれもなくニュー・イングランド・シネマな気配を持っていて、
ちょっと視点を変えると、貧乏でダメな人達の色々あるけど人生は続いて行きます
みたいな話に見えてくるから不思議。

パブを経営する元ボクサーのオッサン、落ちぶれた元・将来を約束された若手ボクサー、
そしてその恋人で胸が大きいだけで向上心の強い女、この3人がこの大きなエビ
を使ってショービズで一儲けしようとするけど上手くいかない、みたいな話で、
これがも少し個々のキャラクタを掘り下げていれれば、ちょっとしたミニシアター佳作
な感じでひょっとしたらカンヌで話題、みたいな勢いはあったのでは、とかやや思ったり。

この突飛なプロットの割りに普通に収まりきってるのが、
物足りなくはあるんだけれども、後々反芻するとそれがなんとも
逆に奇抜ではあるなあ、と、そんな感じ。考えすぎ。

(2003 09/17)
座頭市
監督:北野武
2003年ベネチア映画祭銀獅子賞受賞作品。
ちなみに監督クレジットは北野で主演はビートたけし。

ズガン、とタイトルバックが出た時に、おおこれはみたいな
高揚感があったりしたんですが、基本的には北野映画なので
独特の間が根本的にまったりぎみで流れます。

で殺陣になるとズバーと速いわけで、この緩急が心地良いんです。

特筆すべきは血と雨と桜で、そいった降ったり舞ったりするものの
映像的な配置がすばらしい。飛び散りまくる血しぶきはおそらくCG半分
な気がするんですが、 その細かい飛沫感ってのがあまり血液的でなくて、
葉についた朝露を散らすようなみずみずしさがあるので、変な清涼感が。

あとはその一枚画の徹底的な作りこみにはもう圧倒されます。
外と中との露出差をビシっと合わせてフレームの中に収まってるカットとかもう。

その芸術映画としての側面をきっちり押さえつつ、エンターテイメントとしての
流れを作ってるあたりが独特のベクトルを加速させているというか。
粗い部分は粗いんですよなんか。
突然、回想が次々と始まっちゃったりして、説明終わり、みたいなところとか。
浅野忠信演じるところの浪人夫婦の行動原理が良くわからないところとか。
んでたたみかけるオチの部分のざっくり感とか。

でも、それが全部機能的にこの映画のパートを構成していて、
あー、なんか完成しきってるなあ、とそういう感じ。

賭場で有無を言わさずスパっと行くテンションとか好きです。
あと最後のカーテンコール的盛り上げ方はスタンディングオベーション
せざるを得ない勢いで心地良い。

全体的けっこう優しい映画なんで、万人向け。娯楽活劇。

(2003 09/12)
監督:山口雄大
漫☆画太郎先生の同名作品をあろうことか映画化。
監督は北村龍平氏の元で二班監督やら脚本を努める山口雄大氏。

つか見るほうも作るほうも全部わかってやってるわけで、
その一部なんか面白そうな映画だなあ、とかでやって来た人や
和歌山市の映画コミッショナーに誘われて参加した善良なエキストラの方々は
なんじゃこりゃー!!みたいな。たぶん。

前提としての画太郎免疫があれば、ちょっと間延びしてる感は否めないんだけれども
この映画全然OKなわけですよ。ていうか作った時点でOK。
もし中身が漁師のドキュメンタリーだとしてもOK。
むしろそっちのほうがよりOK。

でもそんなことはなくて、きちんとあの漫画を映画化しているわけで、
あげくあのブッツリ終わってしまっているストーリーをきちんとそれなりに
まとめあげてるあたりが正しいんだけど間違っていて、それだからこそOK。

そのね、これ地獄甲子園のタイトルがついてないと あー みたいな
映画なんですよ。軽く寒めの。でもこのタイトルがつくことによって
それが全部アリになるんですよ不思議なことに。

すなわち映画そのものの評価が不可能。むしろするだけ無駄。

「おもしろくありませんでした。」じゃダメなわけなんですよ。
「つまんねー!!クソつまんねー!!」じゃないとダメなわけなんですよ。

そういうことです。そこら辺の感覚の人推奨。それ以外非推奨。
アクションのレベルは無駄に高いです。

でも、EDがユウヒーズなのは頂けません。
終始一貫するなら蛭子さんに「栄冠は君に輝く」とかを歌わせるべきです。

あと、『ラーメンバカ一代』は劇中で突然はじまるべきです。

(2003 09/10)
監督:チャン・イーモウ
ジェット・リー主演の中国映画歴代記録を次々塗り替えた歴史大作。
撮影がクリストファー・ドイルとかスタッフ周りも豪勢。

ミニシアター向けトリック映画のような構造を為しているわけで、
その壮大なスケールのロケーションに反して、とても話が密室劇
(リアルタイムの話はほぼ皇帝の間で展開されるわけで)なので
なにかこう、しっくりこないというのが後感。

ただ不協和音というほどに悪くもなく、むしろそれなりに全体のバランスが
調和して進むんで逆に物足りないというか。

その過去の話が次々と塗り変えられて行く構造、そしてその章ごとの
プロダクション・デザインの変更、というのは見事なんですが
その根幹を為すストーリー部の展開に一抹の弱さがあるなあと。

朴訥としすぎているリー師範に感情移入が出来ないのはいつものことなので
これはまったく構わないんですが、演技派陣が演じるキャラクタ達にまったく
モチベーションが感じられないのがなんともかんとも。
いやなんかその広大な中国の大地の覇権がどうのこうのな割りには
物語が4人ぐらいで進んでいくのはなんかリアリティに欠けるというか。

ただ、そういう歴史的超大作みたいな要素を全部忘れてみます。
そうすると、この映画たいへん面白いわけですよ。

特に冒頭のドニー・イェンVSリー師範の殺陣の素晴らしいことこの上なし。
こういう時のリー・リンチェイの表情というのは、やっぱりそっち側の人間だなあ
と思えるぐらいに活き活きしているしカッコ良い。

その色彩でばっさり切ったプロダクション・デザインも感覚的に心地良く、
細かいオブジェクトの節度のない数量(人とか葉とか矢とか)とかも圧倒的。

そんな感じで、感動とかロマンとかそいったものは全く期待しないで
あーワイヤーとかカンフーとか見てえなあ、という人向け。

(2003 9/01)
監督:ゴア・ヴァービンスキー
ジェリー・ブラッカイマー製作、ジョニー・デップ主演のディズニーランドの
アトラクションを題材に映画を1本壮大にでっち上げました。

ものすごい勢いで毒にも薬にもならない映画。

とりあえず「ブロックバスターチェックシート」を作って
ひとつひとつバツをつけながら作ったような、
気持ち悪いぐらいの万人向けの浅くて完璧な完成度。
疑う余地のないくらいに明快なストーリー、誰もが安心出来る幕引き、
どんなまったりとしたアクション果敢に見えるテンションの高いオーケストレーション、
でそれなりに通ったジョニー・デップをメインに配置。(これは女性客狙いの
2枚看板でもあり)。敵役にはオスカー俳優ジェフリー・ラッシュ。
そして、急進中の新人美男美女をストーリーのメインに抜擢。
ILM製のCGも万全。ついでにEDロールの後にエピローグまでつけちゃいますよ。

もう何もかもがちょっとムカついてくるぐらい。
ただ140分の流れがタルいとかそういうわけでもなく、なんとなく
それなりに見れるのが職業監督、ゴア・ヴァービンスキーのすごいところ。
言わばその流れそのものが唯一の見所。

とにかく今回のカイマーのすごいのは、オーランド・ブルームとキーラ・ナイトレイという
この上ない旬の俳優を何の臆面もなく使えるあたりで、
またこの二人にそれなりに華があるんで、それだけで酔える人はもうそれで。

個人的には端々でカイマーの幻聴オーディオコメンタリー
が聞こえくるようなシークエンスの連続で辟易しました。
「そう、実はちょっと切るだけなんだよ、観客はここで驚くとともに安心するんだ」とか
「このジョニーの演技はちょっとやりすぎだろ?でもそれぐらいがちょうどいいんだ」とか
「ここで観客はゾっとするんだ!実は彼らは呪われているんだよ!」みたいな。

いやマジでなんか「ほーらおまいらこういうの好きだろう」と大変ナメられてる
気がいたしました。

生まれて初めて映画を見る人とか、大人数で当たり障りのない選択をしたい
場合におススメです。

(2003 08/29)
監督:ポール・トーマス・アンダーソン
『マグノリア』で色々な人に色々なものを叩きつけたPTAの最新作。
アダム・サンドラー主演。なぜか東宝東和配給。

数を重ねる度にPTAの悪質なまでの突出した、ある種完璧であり、もうそれ以外
ありえないのではないだろうかという絶望であり、何か良くわからないけど
何かをガンガン叩き込まれている微妙な不安感というのは度を増していて、
今回もそれ。 口を封じられる勢い。

何か、盲信か拒絶しか選択肢がないような追いこみを駆けられるんですよ。

もうね序盤、朝のだだっ広い幹線道路でトラックがズゴーン!
で横を駆け抜けて来たワゴンが突然止まって小さなピアノをドンと置いて去る。
ここら辺でもうああわかりましたごめんなさい。のような。

とにかく、その後も音楽と、カメラワークと、不器用な人間を見ている人間の心が
ごわごわするまでに器用に演じるアダム・サンドラーとが、何か質量を持って
襲ってくるようなラブ・ストーリーです。感想は「すごい」でいいです。もう。

ただなんか純粋に「面白い」ではないんですよ、むしろイヤだなあと思うぐらい。
なにかそれぐらい個人的には今回も心揺らされたわけですよ。

あとPTA映画内には実際の時間とは関係なくPTA時間が流れている気が 。
95分の今作とその倍の長さの『マグノリア』や152分の『ブギー・ナイツ』が
全部同じような長さに感じたわけで。

むしろ時間を感じないぐらいに揺さぶられていたという感覚。

(2003 08/26)
監督:アン・リー
アメコミ実写映画ブームに乗ってマーブルが送りこんだのは緑の巨人。
『グリーン・ディスティニー』 を買われたアン・リーを監督に大抜擢。

正直真っ当に期待しすぎた、という感想。
そのストーリー部分に、感動的な何かを期待してたわけですよ、何故か。
で、そこら辺がボロボロなわけですよ。
あんまり悲哀も伝わってこないし、カタルシスもない。
冒頭、主人公でありハルクであるブルース・バナーの原体験のようなものを
タイトルバックでテンポ良く展開するんですが、そこから、現在でハルクとして
発動するまでがなんかもの凄くタルい。

で発動しだしてからも話はわりとぐでぐでで、もう最後で
父と話すところなんか舞台劇みたいになりまして、ここで、あ、これは、アレだ、
そっち方面の映画だったんだ! と激しく後悔したわけです。

んでいたたまれない点そんだけでなくて、この映画の特筆する部分は
コマ割り的画面分割とワイプなわけでなんですが、これがコミック的効果、
と言うのかどうかは知りませんが、非常に気持ちが悪い。感覚的に。
画面分割に関しては手法としてそんなに珍しくはないんですが、その多用と
画面を分割して演出する意味があんまり感じられないシーンで突然3画面で
展開されても、みたいな。

あとワイプが特殊なのは、次の場面の1オブジェクトだけが
現シーンにかぶさるわけですよ、ジェニファー・コネリーの顔だけドカーンと
突然画面に現れるわけです。そんでからそのシーンの背景が浮いてくる、
みたいな斬新すぎワイプ。これが終始連発だからなんか落ちつかない。

この二つの効果がきっちり合わさって、2画面が1つに繋がるところとか
ちょっと心地良いんですが、さすがに多用されると違和感が先立ったわけです。

根幹を為すハルクさんの動きは、素晴らしいというか健康的というか目に
やさしいというかそんな感じ。躍動感に関しては感動的。

だからこそ
個人的には最後の対決のようなのものにもっと時間を割いて欲しいなあ
とか思ったんですけど、これ以上尺が長いのはもうダメくさい。

シリアス気取りながらその演出とかが微妙にコミカルだったりするのが
もうなんともバランスが悪いという感じ。

(2003 08/11)
監督:ジョナサン・モストウ
誰も帰ってくるとは思ってなかった12年越しの新作。シュワ以外のキャストは一新。
『ブレーキ・ダウン』 『U−571』のどの部分を買われたかは謎のモストウ監督作品。

ジョナサン・モストウしてやったり。
うわー、大作まかされちゃったよ。しかも前作でまとまってるじゃん。
シュワもう還暦だし。誰?ニック・スタールって?エドワード・ファーロングは?
女ターミネーター?、ああ、流行ってるからいいんじゃない、ララ・クラフトみたいで。
とりあえず契約書見せて、あ、OKOK。とりあえず
車100台ぐらい壊してもOK」って書き加えておいて。あとヘリも壊すから。

と言ったかどうかはわかりませんが、そういう勢い
よもやハリウッドのアクションと言えば似非カンフー。んなのは知らん。
とりあえず掴んで投げるだけのアクションで押し切るジョナサン・モストウ。
ただこの「掴んで投げる」に圧倒的な重量感とフレームスピードを高速にする
やけくそに近い効果が、驚くほど心地良い

てか人間(てかロボット)アクションに比重はあんまり置いてないわけですよ、この映画。
ジャンル分けすると「デストロイ映画」です。
とにかく序盤の車での追撃戦、カーチェイス、なんてヌルい表現ではどうにも
ならないぐらいの重圧感。ていうか車そのものがデカい。クレーン車ですよ。
んでクレーンぶんぶん振り回してもうひたすら建物から何からブチ壊しまくり。
ここら辺で、あ、この映画、たぶんすごい

とにかく、T-800が未来から到着するシーンで無意味に大蛇がうごめいてるあたりで
もう、あー、これは来るなあ、何かすごいものが来る、と感じたわけですが、
一方向に直進するストーリーをただただひたすら周囲のものを壊しながらすすむ
デストラクションロードムービー。そして壊すのは物理的な部分だけではなくて
設定もガスガス壊す。サラ・コナーの現在、ジョン・コナーの未来、そこら辺さっくり
壊されてます。ホントにキャメロンに脚本読ませたのだろうか、これ。

あと特筆すべきはこの音響。すばらしい重低音。これは『ブレーキ・ダウン』の時も
感じたんですがとにかく音の全てが重い。イコライザーで低音だけギュっと上げた
感じの音がドゴドゴ鳴ってる。これまた心地良いわけです。

そういう感じで車から建物から墓石から人間までたくさん壊して、筋肉爺と
ヤク中と疲れたOLのズッコケ3人組がモデルから逃げ続けて、
もうどうしようもなく素晴らしいラストシーンを迎えるわけで、とにかく
前シリーズとの比較を許さない勢いで圧倒するこの映画。簡単に言うと大変です

あ、基本的にはコメディですので。
特にラスト手前、T-Xに続いてシュワが突入してくるシーンはヘリコントとして秀逸。
そして素晴らしいラストでちょこっと語られている「スカイネットの真実」が爆笑。

続編作るなら、たぶんこれなかったことにしたほうが良い気がします。
タイムパラドックスとかそういう感じで。

シリーズに埋没させるのはもったいない。
それぐらいの最高傑作。

(2003 08/06)
監督:高坂希太郎
黒田硫黄原作の漫画の映画化。監督は元ジブリな人で、製作はマッドハウス。
上映時間は47分、入場料一律1000円という特殊興行。

まったくもって違和感がない完成度の高さに心打たれたというインプレッション。

原作があって、ある程度それが念頭にあるわけで、それでいて短い尺、
そういった要素が色々な、感覚的な違い、のようなものを呼ぶんではないかと。
それが良い方向で、悪い方向であれ、そんな感じではないかと思って鑑賞した
わけですが、そんなことどうでもよかったわけで。

ただただこの47分の物語の流れが心地良いとしか言いようがない感じで。
自転車レースの描写、説明的な部分は全部微妙にリアルくさい実況と解説に
委ねて、レースの中に居る人達にはその思惑のもろもろだけを端的に展開させる
あたりがかなり格好良くて、ここら辺は監督の経験則+演出力がかなり光ってる
部分だと。
特にゴール寸前の描写にはもう心踊りまくりで涙目ぎみ。

漫画原作を時間軸の上に載せたものとしては、最高の完成品ではないかと。
それもまたクセのある漫画を。よくぞここまで。

などと、つたない賛辞しか思いつきません。とにかく好きですこの映画。

(2003 08/01)
監督:F・ゲイリー・グレイ
1969年の同名作品のリメイク。監督は『交渉人』とかの人。

快作。これはカッコ良い。まとまりも良い。
その序盤のヴェネチアのボートチェイスから、終盤のLAでのカーチェイスまで
映像のスピード感つのが素晴らしい、音楽の選曲も楽しい。

何よりも地味で深い役者陣が支えてるのが、この映画の良いところ。
主演がマーク・ウォルバーグという時点でいくらお金かけても大作には
ならないわけで
、それに序盤のドナルド・サザーランドのどうしようもない
含蓄とか、エドワート・ノートンの見事な小物っぷりの演技とか、
セス・グリーンとか、ジェイソン・ステイサムとか、その各々それなりの作品で
主演級な人間が寄せ集まった時に起こる化学反応のようなものがとても作用している
キャスティング。

「ナップスター」とか細かいところがナードだったり、
細かい回想シーンがきちんとアホくさかったり、
ラブロマンスの部分はざっくり割愛されてたり、
タイトルバックが格好良かったり、
売りのカーチェイスとかはやりすぎぎみでとても良い。
とにかく全体的に心地良い出来。それでいてそれなりに独特。

なんか得した感のある映画。

(2003 07/19)
監督:キース・フルトン
    ルイス・ぺぺ
テリー・ギリアム監督の『ドン・キホーテ』が完成しない模様を描くドキュメンタリー映画。

たまらなく胸の痛い映画。
バッドエンドが約束されているわけで、それを知っている銀幕の前の人達は
とてもツライわけですよ。少なくとも個人的には劇場飛び出したくなるぐらい
いたたまれない作品。それぐらい感情を揺さぶられた。

序盤、ギリアムの10年越しの想いがつまったこの作品を嬉々として語る
あたりでもうたえられない。 その子供のような笑顔が、もう。

絵コンテやイメージボードを使った演出もあるんですが、基本的には
起こることを淡々とビデオで収めて時間軸に沿って構成されてるので、
ひとつひとつ上手くいかない模様が描かれていくのが、もう。

ギリアムの無理な発注を、どうしようもない冷めた顔で聞くスタッフとか、もう。

その「何が一番悪い」という訳ではなくて、一つの映画が出来ないまでには
色々な要因が折り重なってこうなるというのが良くわかります。
妥協を許さないギリアムの姿は、頑固なだけに見えるかも知れないけれども
映画への、作品への思い入れの強さが見えてとても好感が持てます。
でもそれだけでは映画は完成しないわけです。

だからなおさら辛いわけで。
最後のほう泣いてた気がする。

(2003 07/16)
監督:クリスチャン・デュゲイ
いわゆる「X-game」に端を発するExtreme Sportsをフィーチャーした映画。
監督はCM畑の人でなおかつスキーヤー、いわゆる自分のフィールドを大展開して
撮影したと思われる作品。

いたって体育会系のノリで作られてまして、
プロダクション関連のテキストを読みますとCGなんてクソくらえ、な勢いで
ひたすらスタントらしく、それなら大変だなあとか思うぐらいで。

ただその個々のアクションのスピード感は
ずがずが鳴ってる音楽と合わさってかなり心地良くて、
またそのスクリーンを覆い尽くす雪山の映像なんかも、あーいいなあとか。

ところが個々のシークエンスが流れの中での意味がなくて、それはそれで割切って
しまえばいいものを、後半突然悪い人が出てきてストーリー的なものにしようとした
あたりから、中途半端なクライムアクションにシフト移行。でもその展開が
激的に中途半端でわりとあっさり解決。
この悪役達の役者のキャラクタが強いだけにもったいないなあ、と。

おそらく、先に画的なものがあって後からストーリー足したような出来。

細かい演出を定石通りにしないようにしているこだわりは感じられる
んですけれども、全体を見たときに、90分強でスピード感は端々に感じるのに
所々ダレるあたりが、根底に流れるテンポが悪い、みたいなもんではないかと。

あと2回しか出てこない、
微妙な日本人クライアントの違和感爆発ぎみのイントネーションが頭から離れない。

(2003 07/12)
監督:McG
前作から3年の2作目、ビル・マーレーはルーシー・リューとの不仲で降板、
代わりにバーニー・マックがボスレーの座に。そしてデミ・ムーアまで引っ張り出したり。

とにかく(平均年齢が三十路を超えてようとも)女の子は正義!
音楽は正義!カンフーも正義!

そういったボルテージだけをきちんと爆発すれば、映画なんてそんなものですよと
大変正しく割り切った最高傑作としか言いようがない出来。

これを何処から否定しようとも、それは全部無駄でしかないぐらいの勢い。
むしろ好きか嫌いかだけの二つのリアクションしか要求してないと。
とにかく冒頭からガンガン飛ばしまくりで、途中までかなりの長いワンショットで
見せたあとは予告編で見せたヘリアクションが、タイトルバックで展開。
この時点ちょっと涙ぐんでたぐらいのカッコ良い映像。

話の流れが非常にスムーズで、とにかくテンポを最優先で展開しているのが
ひしひしと伝わって来るぐらいの展開の適当さ。いやもうこれでいいんです。
ただ、その一つ一つのシークエンスが徹底的にバカか、圧倒的にカッコ良いか
でちょっとした葛藤も描くんですが、さっくりと復活。
その復活のきっかけにジャクリーン・スミスを配置するなんてもう完璧。

とにかく全編に渡って軽くて熱い展開が目白押し。
とにかく映像と音楽だけを浴びるのが心地よい快作。

(2003 07/08)
監督:ジョン・アミエル
B級スタッフで作り上げたB級パニック映画。
監督は『エントラップメント』とか『コピーキャット』とかの人。

困った。
これ普通に面白い。

「地球の核が停止」というプロットの時点でもうこの映画のベクトルは
面白要素満載のダメダメパニック映画だと、そう期待するじゃないですか普通。
ほら南極にブースターつけて地球動かして隕石避ける映画みたいな。

確かに序盤のペースメーカーつけた人がバタバタ倒れたり、
鳥が次々体当たりしたり、そこら辺を全部「電磁波が」みたいな勢いは
もう完全に面白映画なんですが。
とりあえず、空の具合がおかしくなって雷が何故かコロシアムに集中して爆発する
あたりまで面白映画です。爆笑です。
そこまでが第1部。題して「地球が大変パート」

でそっからうまい棒みたいな乗り物でひたすら潜る「地中で大変パート」
が始まるんですが、ここからが良く出来ている。

まず、おおよそ想像だけで勝手に作られたと思われる地中の映像が
うねうねしていて心地よい。のは置いといて、
淡々と進行していく人間ドラマがけっこう熱いんです、これ意外と。

各々が地球を救う為に各々が出来る事をきちんとこなして行くあたりがとても格好良い。
また犠牲を美化したりしないあたりも素晴らしい。
とにかく個々の事象がその必然性に沿って起こっている(ように見える)あたりが
ちょっと物語りにのめり込めた部分ではないかと。

ただ科学的な部分はどうにも適当臭いんですが、
まあ誰も知らない地中のことなんですから。

映像と展開を見ると、なるほど地中という素材は上手いなあ、と思った次第。
正しい方向にも歪んだ方向にも期待しないで見ると、
この映画単純に面白いです。

(2003 07/08)
監督:エリア・スレイマン
2002年カンヌ映画祭審査員賞受賞のイスラエル製コメディ。

まず、イスラエル近辺について「大変」ぐらいの認識しかない人なので
そこら辺の無知は覚悟して観たわけですが、どーやらそーいう問題でも
ないのでは、というぐらい荒唐無稽な流れで驚き。

いやたぶん製作側の根底に確固とした意図はあるんだろうけども、
これがまったく伝わってこない。その間延びしたシークエンス、
反復される演出、序盤の作り方が、静かで単調で退屈ではあるんだけれども
とても丁寧で良いなあと感じていたら、突然ガンガン音楽なりだしたりしてあー、とか。
終盤突然マトリクスとか。んー、とか。

意図する混沌みたいなものはなんとなく、その不条理コメディのような雰囲気は
好きなんですが、かなりの勢いでバランスが悪い。

これを独特とか個性的とか言ってそれとするのはまあ、そうかなあ、とも思うんですが
コメディとするならこれあんまり笑えないなあとかそういう感じ。

あと、なにか色々なことを知ってないと面白くない映画はあんまり観たくない。

(2003 07/08)
監督:カーティス・ハンソン
エミネム主演。というか自伝的。ただ企画自体はエミネムありきではなくて、
監督が撮ろうとしていた主人公像にピッタリすぎたのがエミネムだったとの話。
第75回アカデミー賞 最優秀主題歌賞受賞作品。

もし、主演がエミネムでなくて、なんかそれっぽい坊主だったら、
コレ間違いなく単館上映直行みたいな地味な映画です。
思ったよりもテンションは高くない、最初から最後まで。

んー最初から最後までというよりも、
物語のヤマとなるのが最初と最後のラップバトルなわけなんですが、
これがやっぱり今一つピンとこない。原語の感覚とその韻が刻むリズムが
叩き出す心地よさを感じ取れないと、その爽快感がほぼないに等しい。

ただラップでバトルとかそういうものがあるのかあ、という感じで。
そのラップバトルに対する興味が個人的にあまり湧かなかった、というのが
何かその「面白い」と感じれなかった要因だと思います。

最後のチャンピオンとのラップバトルで、んー、あーそういうことなのかあ。
でもなあ。

のような感じ。その一休さんと将軍さまのとんち勝負を見てる感覚に近い。

ただ、それ以外のひたすらダメ人間描写がもうたまらなく胸に突き刺さる
シークエンスの連続で、一向に好転しない状況の中で押し黙ることはあっても、
決して弱音を吐くことはないエミネム演じる、ジミーが
「いつ夢に見切りをつければいい?」云々の流れはとても感傷的になります。

そのカーティス的演出つー感じの個々の淡々とした出来事の挟みこむ
タイミングがまた地味で、でもそれでいて絶妙なのでわりと飽きることなく
時間は推移するんですが、その溜めた淡々の後にきっちり用意されている
カタルシスが、その意図すると思われるようにあまり感じ取ることが出来ないのが、
後感がすっきりしなくて、色々考えてしまったわけです。

(2003 06/26)
監督:ラリー&アンディー・ウォシャウスキー
前作から4年、続編を二本同時に撮影、そして半年間隔で立て続けに
公開という勢いで襲ってきた、映像史にその名を刻む作品。

前作というものがあるわけで、それを越えなければならないという命題が
プレッシャーとしてのしかかるのではないかと、そう思ったのはまったくの懸念。

ウォシャウスキー・ブラザーズの脳内にはまだまだおかしな映像がたくさん生産
され続けているようで、あげく金銭的な面での規制がだいぶ緩和されてしまったから
さあ大変。撮影の為に擬似高速道路ひとつ作っちゃおうな勢いで。

何が一番すごいと感じたかと言うと、この映画、ストーリーが別にわからなくても楽しい
という点なんですよ。

もう4年前のことなんか覚えてないわけで、ザイオンとかそこら辺
の固有名詞がほぼ意味不明な状態でコレ見たんですが、徐々に断片的な記憶が
甦ってくるものの、なんでスミスさんが解放されたのかとか全くわからないんですが、
それなりにすごい映像が合間合間に展開されるので、それ見れるだけで幸せな
勢いの作品なんですよ。

その緩急みたいなのがけっこう激しすぎで、ネオが色々な人から話を聞く
くだりってのはもうだいたい言葉がくるくる回ります「予言」やら「真実」やら
「選択」やらもう漠然としたそれらが根底にある「事実」に沿ってそのうわっつらを
掠めるようなシークエンスが、 延々と。そこら辺で脳内がキューっと来たところで、
一転して大スペクタクル未知の映像。これで収縮してたモノが一気に解放されて
外に向かって爆発する勢い。

何がどうなって、どこに行くのかも気になりはするんですが、
それよりも一体次はどんな映像を見せてくれるのかが楽しみで仕方がない状態。

描写そのものはアホくさいんですが、それが力のある映像で推しきられたときに
あまり日常では感じない高揚に見まわれるのが他の作品が持ちえない唯一性だと。

ただただひたすら映像というものの可能性の広さに感嘆するのと、
如何に他の作品がその独創性を持ち得ていないかを再認識するためにも
これは一つ浴びておかないといけないフィルムだと思います。

ストーリーに関しては良くわからなかったのであまり言及しません(できません
この2作目が次回作への大いなるフェイクのような予感もするので。
おそらく次で綺麗に紐解かれるのではないかと思うので。

とりあえず"to be continued"に「次回完結」というどうしようもない字幕をつけた
人をただひたすら怨みます。

(2003 05/28)
監督:ウィリアム・フリードキン
未だに『エクソシスト』の、と言われる呪われぎみの同監督作品。
アカデミー追跡者賞をこの人の為に設立してもおかしくないぐらい追いかけ続ける
トミー・リー・ジョーンズ主演。 ベニチオ・デル・トロも主演。
実在のトラッカー、トム・ブラウン・ジュニアの全面協力により作られた作品。

えと、もうちょっとちゃんと作れ。

デル・トロ演じる特殊工作兵(暗殺専門のキラーマシーン)が戦争の後遺症で
ちょっと精神的にアレになってて、森でハンターブチ殺してさあ大変。
サバイバル方法と人の殺し方を教えたトミー・リー演じるL.T.がFBIに以来されて
それをひたすら追っかける話。

序盤にそのデル・トロがおかしくなってしまう過程を物凄い金かかってるくさい
コソボの戦場を再現して展開するんですが、ただ爆発して、人が撃たれてるだけが
延々続いて、まったくその過程の演出が為されてないあたりでもうこれは、みたいな。

それでシーンが変わると既に森の中に潜伏中のデル・トロ。
んでトミー・リーもそそくさと登場。んですぐ捕まるあたりがビックリ。
それなりにカリ対決を見せるあたりはおもろいんですが。

んで、まあ、色々あって、も一回デル・トロを捕まえないといけない状態になるんですが、
ここら辺から壮絶な勢いのかくれんぼが展開されます。
オッサン二人が延々追いかけて隠れての。
トミー・リーの走り方のオカマっぽいのがさらにこのほのぼのムードに拍車を
かけて、後半、なんだかとても不思議な映像を見ている気分に。

この本筋である追ったり追われたりの部分に激的に緊迫感の欠けるあたりが
ちょっと粗雑に見える感じるわけで。

そのリアルである部分を追求したんだろうけども、それがストーリーと
きちんと噛み合ってないのと描写が単調なのでちょっと胸打つものがないという感じ。
ただ95分という短尺の為にそれほど退屈しないので、それほど悪い、という気が
しないでもないあたりがこれまた不思議。

(2003 05/26)
監督:ブライアン・シンガー
前作のヒットを受けて、監督、キャストそのままでの続編。
どうにも続編がありそうな勢い。

前作よりも派手さは増したものの、やはりこの全体的な地味さがたまらない感じ。
ブライアン・シンガーはやっぱり群像劇を描かせると秀逸なのを最実感。
それがこの外的ヴィジュアルに特化&個々の能力がこれでもかと前面に出る
したミュータント達という素材を与えるというのはまさに鬼に金棒的な状況だと。

ただその感情的な高揚とか、スケールの大きさが感じられないあたりが
ヒーロー映画としてはやや物足りない結果になってるんですが、
そういうモノではなくて、変な格好の人達が対立している群像劇だと思えば
いいわけで。

今回から本格的に加わるアイスマン、パイロの対比(これが次回作の一つの物語
として間違いなく展開するための伏線)とか、そして何よりもナイト・クロウラー
序盤に圧倒的にカッコ良いテレポートアクションを見せといて、それ以降は物語を
動かす為の鍵として非常に効率的に機能します。

んで、前作からも一つの重要な鍵として大変良く機能しているミスティークも
今回大活躍。演じているレベッカ・ローミン=ステイモスの素顔も登場で大プッシュすぎ。
とりあえずこのキャラクタを使ったトリック映像というのが、いかにも監督的要素
なんでもう楽しくて仕方がない。そう来たか、みたいな。

これに今回はタダの変なヘルメット爺ではなく、一応、悪の総統らしき強さを
見せる(けっこうセコいんですが)マグニートとかも良く、とりあえず能力的に
考えると最強くさいストームもハル・ベリー人気に合わせて露出も増大。

長い目で考えて、どう考えてもヒーロー映画向けでないブライアン・シンガーを
この作品に抜擢したのは神懸り的。
ギリギリ寸前でわかりにくい演出が、後にそれが解消されるときの小さな心地よさを
紡いだ映画に仕上がっております。

最後はそれなりにスペクタクルな映像ではあるんですが、
やっぱ地味だなあ、と。

んで、プロフェッサーはロリコンという解釈で良いのでしょうか?

(2003 05/26)
監督:ロブ・ボウマン
X-ファイルの映画版の同監督の近未来ドラゴン映画。
マシュー・マコノヒー、クリスチャン・ベール主演とキャストは絶妙。

とりあえず細かいことは気にしない方向で、という
ネガティブな心構えを持って座席に座ったわけですが、
大雑把すぎてちょっと泣ける出来でした。

冒頭でなんか掘ったら穴あいて、ドラゴンずばばばーん。出たー。
みたいな勢いではじまるんですが、その後速攻「20年後」。出たー。
その地球が滅ぶ20年は直接映像で描かずに、新聞や雑誌の画像を見せて
間接的に語って見えない恐怖を演出します。


この時点でこの映画のだいたいの作りの粗さが見えてきたので
違う意味でも恐怖します。ちょっと嬉しいと思うあたりは個人的な病気です。

んで、廃墟で地下掘って身を守ってる人類の生き残りのリーダーが
クリスチャン・ベール演じるクインで、序盤はそれを中心に、如何に
サラマンダーさん(邦題)が怖いかをそれなりに演出。ここでのサラマンダーさんは
序盤の掴み所というところでなかなか迫力あってステキです。

んで、中盤、米の義勇軍の生き残り、マシュー・マコノヒー演じるヴァンザンの
一団が無理矢理共闘を申し出てくるあたりで、ちょっとテンション上がってきます。
空挺部隊VSサラマンダーさん(邦題)とかかなりカッコ良いです。

ま、ここら辺から物語が右肩あがりかと思えば、わりとそうでもなく、
感覚的に言うとズドーンと落されて、そそそそっと反撃して終了。
サラマンダーさん(邦題)を全滅させるのはわりと簡単だと判明したり。
なんかヘリでさっくりサラマンダーさん(邦題)の本拠に辿りついたり。
どうしようもないマヌケなミスで緊迫感が増したり。

とにかくクライマックスに向けての盛り上がりがあんまりない。

ただただ、感動的な大きさのオスのサラマンダーさん(邦題)の
圧倒的な迫力に心酔するだけの映像の流れ。

そんな感じで往々にして見なければならないんだけど、
見なくても良い映画でした。

(2003 05/19)
監督:北村龍平
小山ゆう原作の漫画を上戸彩主演で映画化。
監督には『VIRSUS』 以来長編2本目となる北村龍平。

もうビッグマウスの映画だから、ということでわりと構えて行くわけですよ。
それなりのいらない予備知識のある自分みたいなマニア層の人達は。

だからかもしれないけれども逆に、あー、がんばってるなー、とか思ってしまう罠。
すごい一枚画がハッキリしていて、これが撮りたい、みたいなのがひしひし伝わって
来るんですが、いかんせん空の露出と人の露出の不自然な調和とか、
処理能力が足りない機材でレンダリングしたようなタイムラインいじりの微妙な具合とか
とりあえずアイドル映画として成立させないといけない要素とか、後半突然無駄な
スローモーションが多くなってどうでもいい尺を稼ぎ出したりとか、呪いのような
テーマ曲が再三流れ出してウンザリとか、様々な雑音が混じった結果、
とりあえずアクションだけが印象に残る作品になっとります。

基本的に言葉の部分には微塵もセンスが感じられないというか、
わかりにくい、というか。そんな感じ。

でもそれでいいんではないかと。それなり金かければヤン・デ・ボンぐらいには
なりそうな勢いのビジュアルのテンションを感じたわけで、
そこを未だ見ぬハリウッドとかいう桃源郷がこの人に目をつけたならそれは
なんか納得できるなあ、とか。
崖から落ちたカゴが爆発するあたりが、もうなんとも良い。
カメラが地球と垂直方向に360度ぐるぐる回転する装置「ファントム」(この
ネーミングセンスのテンションも良い)の、ただ三半規管が気持ち悪いだけの映像も
とても、あーアホだなあ、と楽しく笑えるので良い。

なんつか、往年の角川映画につながる無駄な勢いが満載というか。

役者陣は若者陣の初々しさを中和する為にかどうかは知りませんが、
大変濃い人選になってしまって逆にそのギャップが激しすぎで疲れたりもします。
ただその濃い大人達の既知外丸出しのキャラクタライズはとても胸踊るんですが、
いかんせんそのアクションになった時にもっと特徴的な動きとか武器とかビームとか
出ればこの映画、最高に近い出来だったと悔やまれます。
東宝には色々な呪縛がまだまだあるようで「チャンバラをやるなら」みたいな
その殺陣に対する中途半端なこだわりが、この作品が一つベクトル的に抜け出す
のを阻止しているような、そんな感じが。まあ原作ありき、なんでしょうけど。

もろもろの憶測でしかないんですが、そいった様々な制約のなかで、
こんだけ見せれるものを作ったのなら、ただのビッグマウスではないな、と。
そんな気がする作品には仕上がってるのではないかと。

(2003 05/19)
監督:アキ・カリウスマキ
02年カンヌのグランプリ作品。すなわちリンチ・カンヌの最優秀作品。
どう考えても普通であるはずがないのに、普通であるところが、すごいところだと思った。

この圧倒的な朴訥さ加減がもうたまらないわけで、
ずーっといいなあ、と思いつづけながらスクリーンを眺めていた次第で。

特筆すべきは、音楽、色彩、そして役者。
この三要素が作品の根底を為す部分でほぼそれ以外ありえない機能性を
持っていて、それ以外ではありえない雰囲気を放出しまくっているわけで、
これは誰にも出来ない、監督ならではの仕事であると感服するしかないのです、もう。

その最初の記憶を失うシークエンスの淡々とした描写からもう、その作品が持つ
空気が120%蔓延していて、それが最後まで持続する。全く無理なく最後まで。

この空気と間が合う合わないの、受け手側の個体差っていうのはあるんだろうけれども
それはおそらく、それが好きか嫌いかがハッキリとわかるぐらいに、この作品の持つ
作家性が爆発していることを現してるのではないかと。

何を言っても己の言葉の及ぶ範囲の作品ではありませんでした。
これが間の持つ力だと痛感した1本。

簡単に言うと大好きです。

(2003 05/19)
監督:ジャック・ペラン
つわけでジャック・ペランが俳優で稼いだ金を湯水のように注ぎ込んで作った
渡り鳥ドキュメンタリー。撮影3年、撮った映像300時間、20億円かかった超大作。

鳥類10年分見た。

基本的に「行って戻ってくる」という流れは最初と最後ぐらいはわかるんですが、
その間に色々なトリがたくさん出てくるので良くわからなくなります。

「色々なトリがたくさん出てくる」という感想でもあるまじき低年齢テキストですが
これがもうどうにもしっくりくる感じ。

あー、こういうトリも渡り鳥なのか、とか、トリも大変だなあとか、トリってすごいなあとか
それはもうひたすらトリ。わりと残酷ぎみな状況も、残酷なビジュアルそのものは見せ
ないものの、淡々と描写しているあたりに執念のようなものを感じます。
謎の意図的演出もありますが、それ以上にトリ達の奇行やら謎の生態が
楽しめたりもします。トリって不思議とか。

で、特筆したいのは、その撮影なんですが、飛んでるトリに併飛行しながらの
カメラワークなんですが、この相対速度が限りなくゼロに近い状態での映像というのが
ちょっと今までにない勢いでカッコ良くて、驚きました。
その隊列組んで飛行している様なんかちょっと泣けてくるぐらいすごい映像。
トリ、カッコイイ!トリすごくカッコイイ!みたいな。

これに序盤大感動してたら、終盤でなんか少し飽きてくるぐらいコレばっか。
前述したようにストーリーだとか起伏はあまりないので、ちょっと後半、イメージ映像化
してしまって、ちょっと疲れてるとグッスリいってしまうのではないかと思うぐらい単調。

要所、要所で猛禽類やら飛べないやつやらが登場して、なんとかつないでは
くれるんですが、結局トリなので、あーまたトリかー、とかトリの映画見に来てるのに
思います。


一瞬ヘビとか映ると、斬新で仕方ない。

んー、なんだかんだ言ってもその飛行映像と世界の風景でかなり楽しめるので
感覚的に映像を受けとめて頭の中をトリにして見るのが良いかな、と思います。
殆どナレーションとかテロップないのも、あんまり考えなくていいですよ、みたいな
雰囲気を醸し出してて良いのではないかと。

(2003 4/30)
ドリームキャッチャー
監督:ローレンス・カスダン
スティーブン・キング原作。ちなみに本人は絶賛ぎみ。

何がすごいって、最初から最後まで全部すごい。いや違う意味で。
確実に原作に沿ってあるのだろうけれども、かなり大事な部分を省かれてるようで
最初から最後までその個々の行動についての「何故」がほぼ意味不明なわけで
モチベーションのよくわからない人達がテンションの高い世界の危機を勝手に
押し進めて行って
しまう為に、スクリーンの前の人達はもれなく置いていかれる仕組み。

ただその個々の要素が、屁だとかゲップだとか便所だとかステキな下ネタから
はじまって、軍隊やら虐殺やら私怨やら、なんか良くわからないところまで行くから
ステキすぎる。特にモーガン・フリーマン演じるカーティス大佐という存在が、
この映画ではもっとも意味のない存在であるがゆえに、この作品の中になくてはならない
ような存在感を醸し出すのは、意図とは別のトコロで何か神懸りなものが働いてる
としか思えないような素晴らしい偶然。

声を大にして言いたいのは、これは絶対ダメな映画なんだけれども、
大好きでたまらない欠落型ホラーコメディ史に残る大傑作であるということです。

シャマラン作品の持つ「緻密で完璧なアホさ」は全くなく、ただただ原作を消化した人が、
それを自分のテンションが赴くままに映像化したような粗さが全編に叩きつけられてる
勢い。

その全く脳内を真っ白にして見に行くと、展開は絶対に読めないと思います。
読めるとか読めないじゃなくて、鑑賞後も何が起こったかがイマイチ理解が
出来ないと思うので、ゆっくり深呼吸して反芻してください。

笑いが止まらないはずです。

こういう映画を見れるって幸せだなあ、とかまで思う。
とりあえず動物が森から逃げるシーンとかもう腹よじれるかと思った。

(2003 04/24)
監督:アンジェイ・バートコウィアク
『ロミオ・マスト・ダイ』のスタッフ・キャストが再結集なカンフー・ヒップホップムービー。

ストーリー面で、特筆するような部分はあんまりないんですが、
なんつかー、こーいうのあったなー、みたいな微妙なノスタルジックな気分に
なるようなそんな具合で心温まる勢い。具体的に何に似てるとかではなくて。
自分の中に昔あった「映画」にもっとも近い感じがする作品。雰囲気的に。

DMX演じるドニー率いる強盗団が、依頼されて盗んだ黒い石が実は大変なモノで、
それを巡って強盗団withジェット・リーと地元マフィアと闇ブローカーが三つ巴ぎみ
の展開を繰り広げる話なんですが、
どう見ても強そうでないDMXがエラく強かったり
ガブリエル・ユニオンのエロシーンが無駄に長かったり、
アンソニー・アンダーソンがイイ味出しすぎだったり。

そゆ感じで黒人勢が非常にキャラクタ出来てておもろいところに
ジェット・リーが入るとわりと変なバランスが取れる感じで、さらにおもろい感じが。

ジェット・リー先生はどの映画でもジェット・リーそのもので、演技とかいうものを
わりと超越というか無視というか、何を考えてるかわからないというか。
ただジャッキー御大と比べて違うのは、御大は作品そのものの雰囲気まで
己で持っていってしまうんですが、ジェット・リーはきちんとその作品の中に居る
気がします。

見所としては、そのカンフーであったりするわけで、中盤、
地下ファイトクラブみたいな場所で、色々あってジェット・リーが戦わざるをえない
状態になるわけでなんですが、その美しい蹴りを堪能していたところで
平行してDMXの逃走カーチェイスが展開されるあたりからグラフが右肩上がり。
この二つのシーンが交錯しつつ展開するシークエンスの編集テンポがほぼ最高。
近年稀に見る心地良いカットワーク。ここの映像の流れを浴びれるだけで、
わりともういいや、とか思います。いやマジ泣くかと思った。

んで、終盤の個々のキャラクタの持ち味を
それなりに生かしたクライマックスも単純に楽しい。もうニコニコ状態。

悪役が若干希薄であったりするんですが、ま、ケリー・フーもいるよ、ということで。
EDバックに展開されるトム・アーノルドとアンソニー・アンダーソンのダメ映画トークも
大好きです。

(2003 04/22)
監督:ケヴィン・スミス
『クラークス』『モール・ラッツ』『チェイシング・エイミー』『ドグマ』とケヴィン・スミス作品内
にて端役として活躍してきたジェイ&サイレント・ボブがついに主役に!
豪華キャストで送る、ケヴィン・スミス流マスターベーションムービー。

ていうか、ケヴィン・スミス作品を初めて見るステータスな人なわけで、
ちょっとツラいんじゃないだろうかなあ、とか不安はあったんですが、
いやこの激的なユルさに感動してしまったというのが正直なところで。

もう全編に渡ってファック、ファック 、ファック、ファック 、ファック 、ファックなわけで
割りとそのコトバの持つ意味はわかりつつもニュアンスまでは理解してない純和人
としては、そんなに言っては行けないコトバなのか、と。逆によくわかった気が。

激的に頭が悪いけどアクティブなジェイと頭が切れるっぽいけど無口なデブ、ボブが
自分達をモデルにしたアメコミが昨今のアメコミ映画化ブームに載って映画化されると
知ったものの、自分たちには一言の許可もなく、肖像権料ももらっていない、
あげくインターネットでは映画が完成する前から匿名で悪口言われほうだい。
キれた二人は一路ハリウッドを目指すのだが・・・・。

という一見普通のコメディのようなストーリーなんですが、全編に渡るのは
監督の思い入れキャスト、思い入れパロディ、あとファックファックなわけで、
思い入れの部分は個人的にはよくわからないので、ひたすら下品でユルい
映画だなあ、あー、こういうのいいなあ。とかその爆笑はないんですが、ずーっと半笑い。

ハリウッドについたあたりから、マット・デイモンやらベン・アフレックやら
ガス・ヴァン・サントは爆笑モノなんですが、全般的ユルい笑いが続きます。

なんつか休日の昼間に見ると最高ぎみ。飲酒しとけばなお良し、みたいな。

ただ、ヒロイン的役割のシャノン・エリザベスに黒ブチ眼鏡をかけさせた
監督の思い入れには痛く感動した次第です。素晴らしいとしか。

(2003 04/16)
監督:コーリー・ユン

カレン・モク(莫文蔚)、スー・チー(舒淇)、ヴィッキー・チャオ(趙薇)と豪華キャストに
よる香港映画。監督は『ザ・ワン』 等のアクション指導でハリウッドでも名の通りつつある
コーリー・ユン。


もうヴィッキーがチャオなわけですよ!
それだけでわりとOK。いやもうそれだけのほうがむしろOK。
確かにスー・チーとかカレン・モクも見せ場があって、バランスを
きちんと取ってはあるわけですが、もうヴィッキーがチャオなわけですよ!

いや何しても可愛い。笑っても、泣いても、斬られても可愛い。

おそらく前提として意識的にあるだろう、チャリ・エンと違うのは
あそこまでバカ(とてもいい意味で)になりきってなくて、
それなりにストーリーとしてまとめようとしているあたりで、それが悪く機能してるかと
言えば、そうでもなく、それなりストーリー。ただ伏線とかそういった要素はほぼ皆無で、
序盤で「コンピュータウィルス侵入」でコンピュータから火花が散るあたりで、
わりと大雑把なのはもう確定的。展開の関係で蛇足的に始まるラブロマンスも中途半端。
要所要所のアクションは小気味良く、テンポも緩まないんですが、なんかこう、
右から左に流れていくような直線的な感じで。

映像的に見ても、そのワイヤーアクション&カンフーとしてはやはり本場の勢いが
感じられるものの、特に目新しいという訳でもなく、ひたすらヴィッキー・チャオ。

ただクライマックスで、このヴィッキーを上回る存在が登場。
そう倉田保昭御大その人です。これが男前すぎというか、その最強っぷりに
心酔してしまうこと間違いなし。
この倉田先生のキャラクタ、名前さえほとんど登場しないですがわりと全部持っていきます。

が、最後にヴィッキー・チャオが逆転します。

たぶん、そういう人を見るだけの映画な気がします。

シーンで一つだけ脳裏から離れないのは、
ペットボトルを電子レンジで暖めるところぐらいなので。

(2003 01/01)
監督:ピーター・ジャクソン
指輪物語、三部作のちょうど真ん中。あと、字幕は色々もめたけどやっぱ自称女王で。
タイトルがWTCを想像させるから変えろとかも言われたり。

やっぱり、なんか監督と観客側に原作という共通の前提が
要求されてる気がするわけですよ。まったく原作知らない人としては。

その、原作ファンが実際そう思ってるかどうかは別として、
個人的にはやっぱ、なにか映像だけでは欠け落ちてる部分が多いのではないかと。

これが一作目の時はさらに深刻で、あげく知らない人が適当に字幕つけたもんだから
ますますわけわからなかったわけで、見た後、正直なんじゃこりゃ、と思ったわけです。
ニュージーランドって広大だなあ、とかそういうPR映画かと。

ただ今回、ある程度1作目で免疫がついてるのもあるんですが、
開き直って鑑賞するとそれなりに楽しめるものだと思ったわけです。
良い意味で中身のない超大作だと割切ってしまうというか。

もう広大な大地をくるくる回る空撮もそれなりに笑えてくるわけで。
そのハリー・ハウゼン作品を彷彿させる巨大なモンスター達に心踊るわけで。
城攻防戦のすさまじいテンションに圧倒されるわけで。

という感じで個々のシークエンスを感覚で受け取ると非常に楽しい。
もうねガンダルフが生きてたとか白だとかどうでもいいわけですよ。
なんか馬を突然呼んで、スローモーションでウマが走ってくるとことか最高
あと杖振りかざしてウマに乗って騎兵のごとく敵軍に突っ込んでいくとこ最高
とかそんな感じで、激、感覚的享受。

だからそれ以外のシークエンスはもう休憩状態。
とりあえず、リヴ・タイラーが出てきたらトイレ休憩、みたいな。
あとセリフが突然ポエムチックになったりするトコロで脳内休憩、みたいな。
そうするとこの映画、ものすごく早く感じるから不思議。

なんつかそういう感じで消化しました。
てな感じで原作未読な方も物語を追おうとはせずに
ピーター・ジャクソンの思い入れみたいなのを雨に打たれるがごとく感じれば
けっこう楽しいアトラクション・ムービーだと思うんですが。

あと、わーっと挙げると、
ゴラムが好きです。スメアゴルはもっと好きです。
サルマンさんはあんなとこにダムを作らないほうがいいと思います。
エントさん達は気が長いのか短いのかわからないので友達になりたくないです。
等々。

何にせよ、特殊な作品ではあるなあ、と。

(2003 04/12)
監督:マーク・スティーヴン・ジョンソン
マーヴル・コミックスののアメコミヒーローを実写映画化。キャストにベン・アフレック、
コリン・ファレル、マイケル・クラーク・ダンカンとインパクト強めの布陣。

助演陣、エレクトラ、ブルズアイ、キングピンのキャラクタが個々によく出来てるんで
これはもったいないなあ、というぐらいで。

3人とも中盤以降の出番になるんですが、特にキングピンなんかはほとんど
終盤のみの活躍。ただ少ないセリフが結構含蓄ある上に、マイケル・クラーク・ダンカン
の不敵ぶりがかなりインパクトあって確立されているなあ、と。

で、その含蓄あるキングピンと対照にあるのがコリン・ファレル演じるブルズアイ
なんですが、こいつが最高。 「なんで殺す?」という問いに、「面白いから」と答える
この最悪のセンスの悪役がいるからこそヒーローが映えるわけです。
その頭についたダーツの的から、神経質的な言動やら、ちょっと素敵すぎ。
とりあえず投げる!当たる!そして額を指差し「ブルズアイ!」 これ最高。万歳。
あとは去り際がも少し狂気してればなお良かったのですが。

それらのサブキャラクタがやや活かしきれてない部分が物足りなくも感じるんですが、
全体的に構成として良く出来ているのは、その後半の部分を詰めて、
前半にデアデビル誕生から現在に至るまでを丁寧に演出した部分にあると感じたわけです。

すなわち主人公の定着を最優先事項にした結果の、他キャラの犠牲のような。
特に序盤の子供時代のエピソードとかは物語とキャラクタの根幹をきちんと定義
する意味において、わりと完璧ぎみだと。

ただアクション部分でこの映画けっこう地味で、流行りのワイヤーな浮き具合や
タイムスライス的な不思議映像とかのいかにもなハイスピード&スローも特になく、
ただ時折、音を像で結ぶデアデビル主観の感覚映像とかになるあたりがエフェクト
としては目立つぐらいで。
ヌンチャクやらサイやら武器的におもろい要素もあまり活きてないし。

なんで、終盤の展開の早さとアクションの地味さと、EDのダレ具合でわりと
「終わり悪くて、全部悪い」みたいな印象を受けてしまう感はあるかと。
そう、珍しく序盤から中盤にかけてはいいなあ、とか思ったわけで。

あ、エレクトラは微妙ですが、個人的には可愛い部類だと思いました。萌え。

(2003 04/12)
監督:カート・ウィマー
脚本家としてキャリアの長いカート・ウィマー監督の監督作品第二弾。
製作がヤン・デ・ボンなあたりでもうちょっとアレな雰囲気。

冒頭で「第3次世界大戦が起こって人がたくさん死んで、残った人は第4次大戦が
起こったら、人類は滅亡すると思いました。」みたいな、小学生が考えたようなプロローグ
の時点で、これは間違いなくヤン・デ・ボン色の強い映画だ、と思ったんですが、
けっこう違いました。

いわばちょっとした極論の世界観、「感情をなくせば争いは起きない」という思想が
前提の独裁世界が展開されていまして、コレがもうポエム朗読も絵画鑑賞も全部死刑
あと怒ったり泣いたりしても死刑。犬はとりあえず全部銃殺。という、もう、誰が見ても
「先生、これは間違ってます」みたいなプロトタイプの洗脳社会が描かれてるわけです。

その陰鬱な歪んだ世界が中盤過ぎるあたりまで重々と続いて、次々と人が死んで
行くわけで、もう見てるほうがちょっと滅入ってくるぐらいまで溜めるあたりが否ヤン・
デ・ボン的というか。万人狙いではない、作品の持つ「怒り」のようなモノが見えるわけです。

ちょっと邪推ではあるんですが、
極化された世界観てのはデフォルメされた現実社会なんではないかとか、
我々はその社会に上手いこと搾取されているだけではないのだろうかとか。
とかそういった体制に対する疑問が積み重なって、「怒り」に変わっていくような。
そういったテーマ性のようなものがやや垣間見えて来たりしたんですが。

が、その「怒り」のリベリオンがはじまってからは別のテンションの作品になります。
いわゆる「ガン=カタ」というオリジナル拳法を監督が開発してしまったあたりが、
この作品にものすごい厚みを与えてしまったというか。
「ガン=カタ」はすなわち銃を使った"型"なわけで、実用性はおそらくまったくない
思われるんですが、激的にカッコ良すぎて、そして最強。
とりあえず敵の弾は当たらない。自分の弾は百発百中。
理由は良くわからない。

いや、でもかなり格好良い。ちょっとガン=カタ習いに行こうかな、と思うぐらい。
そのクライマックスの勢いで全部押しきられてしまう感もあるんですが、
脚本もひねり倒してますんで、それなりに楽しめます。

何よりも、クリスチャン・ベールに白装束で二丁拳銃なヴィジュアルを考えついた
時点でこの作品は勝利しているといっても過言ではないと思いました。

(2003 04/09)
監督:ヨハン・クレーマー
2002年のワールドカップ、予選で敗退した自国のチームを見て「負ける」ことに
興味を抱いたオランダ人、マタイアス・ディ・ヨングによって企画された、W杯決勝と同日に
行われた最下位と下から二番目のチームの試合のドキュメンタリー。

素材がすさまじく良いわけですよ。
カリブに浮かぶ島国モントセラト、 そしてヒマラヤ奥地にある王国ブータン。
このどちらも日々ニュース等では耳にしない二国が出会うだけでもドラマなわけです。

だから、はっきり言うと、演出な部分は極力押さえたほうが素材生きるのではないかと
ちょっと思ったわけです。
その全編に渡って、ボールが転がる映像が挿入されるんですが、これが邪魔だなあ、と。
あと、パンフォーカス、クロスフェード等の多用も目が疲れるなあ、と。
試合開始時のイメージ映像の挿入とかも、モンテセラトの国歌斉唱の際のガケで
歌ってるおばちゃんのイメージ映像とかも意味不明。
という感じでことごとく「演出」の部分が、あまり芳しくない印象を与える感じで。

ただ、その悪印象も「まあ、いいか」と思えるほどの、この二国のチームの
まったり具合というか、のほほん加減がちょっと独特の雰囲気を持ってて
良いなあ、と感じたわけです。
そのモントセラトの代表チームがブータンへ遠征するわけですが、
遠征直前になって、モントセラトのコーチが辞任、ブータンのコーチが急死とか
ぐでぐでなわけですよ、試合する前から。んでブータン入りしても、
ブータンの新コーチは決まらないわ、モントセラトの代表が次々とウィルスに感染して
倒れるわ
、あげく試合の審判が見つからないわでもうちょっと笑えてくるわけです。
本人達には笑い事ではないんですが。

試合中も色々ありまして、それなりにおもろすぎです。

んー、だからこそ序盤の構成の部分で、
個々の選手をほとんど紹介してなかったりする部分が残念なんです。
その両国の国の紹介にけっこう時間が裂かれてて、キャラクタが入ってこない
そんだから試合の時も誰が誰だかよくわからない。

確かにそういった個々の部分を掘り下げることによって、この全体的な雰囲気のような
ものが薄れてしまうのも何か違う気もするんですが。

とりあえず、あのトロフィーを考えた人が今回の一番エライ人だとは思います。

(2003 04/09)
監督:リー・タマホリ
記念すべきジェームズ・ボンドシリーズ20作目にして40周年記念作。
5代目として定着しつつあるブロスナン・ボンドとしては4作目。

その、いつもながらに頭が悪いなあ、と感動するわけです。
突き詰める部分が微塵もない作品。それでいて心地よく完成しているから
安心して、笑いながら劇場を後に出来るというか。
このサックリ感がたまらなく良いなあと毎回思うわけで。

とりあえずボンドが拷問される映像をバックにマドンナの曲で展開される
シリーズ史上、最も悪趣味なタイトルバックの時点で「今回は少し違うかも」
などとちょっと思ったんですが、まったく違うコトはありませんでした。

また、ハル・ベリーがボンド・ガールな時点で前回より遥かに偏差値が上がって
いる点で「今回はちょっと違うかも」と思ってたんですが、まったく違いませんでした。

要はジェームス・ボンド的なモノは不滅というか不動というか、何かきちんとした
ガイドラインに沿って作られてるかのように、良い形での量産を重ねてる気がします。
「シリーズ」というのが激的にしっくりくる。

ただ今回やや残念ぎみなのが、悪役であるザオなんですが、この人が
まったく機能していないあたりが無念。顔にダイヤモンドが埋まったステキな
ビジュアルもあんまり生きないというか、もう一人の悪役グレーヴスの最後の
激的にダサすぎの格好が目に焼きついて離れないあたりも原因の一つ。

もう地上を宇宙かものすごいビームでバンバン焼く衛星兵器「イカルス」つーのが
今回のポイントなんですが、
コレをパワーグローブみたいなショボい手袋で操作するあたりが最高。
また、この最強臭い兵器を使って何をするかと思えば
「地雷原を焼いて進軍する道を作る」とか最高。

その兵器で直接攻撃したほうが、いいんじゃないですか?とか。
デフォルトつっこみポイント。

かと言って全編そればっかりかと言えばそうでもなく、
きちんとスパイな秘密兵器やら、無理矢理な細かい伏線をキレイにたたんで行く展開が
計算されたテンポと映像のスピード感にきちんと乗って進んでいくから
これがまったく不快でないあたりが、ああ、いいなあ、と。

ただ、今回「流行りの映像のキーフレームをいじって、スローとか早回しで
カッコ良い映像を作ろう」手法が導入されてるんですが、この技法が入るタイミングが
全部微妙。ただこの展開の中にあると一周回って笑えるのがジェームズ・ボンド。

後半になるとメーター振り切って、大変な量の爆発が起こったりしたりして
意外とタマホリもやるな!とかそういう良くわからない心の歓声が次々と湧いてきます。

ハル・ベリーの割り切りっぷりが素晴らしく、またもう一人のボンド・ガール、フロスト役の
ロザムンド・パイクの微妙な面構えも楽しい。

何かきちんとツボを押さえてるなあ、と毎回、本当に感嘆します。
毎回、鑑賞後1週間ぐらいで脳内からすっぽりキレイに消えてしまうあたりもすごい。

(2003 04/06)
監督:ロベルト・ベニーニ
フェデリコ・フェリーニがベニーニと立ち上げた企画、おなじみの童話を忠実に再現する
為にイタリア映画としてはかなり大規模の予算が組まれたり。

だからオッサンなわけですよ。もうコレはどうしようもないわけで、
そのどうしようもないのがずーっと出ずっぱり。主役だから。
御年50歳のベニーニが、どうおどけてみせてもオッサンなわけですよ。

コレに関して配給が危惧したのかどうかはわからないんですがアバンタイトルに
ベニーニからのメッセージが字幕で流れます。
「本当はジェッペット爺さんを演じることが出来る年齢だけれども、あえてピノキオを」
みたいな。すいませんけど、やってみました、みたいな。

やるなよ。と。

でもそれが気にならない心の広い人なら、この映画、普通に良く出来てると思います。
その微妙に出来の悪い世界観とか、火喰いの親方の不気味な大きさとか、サメに
飲みこまれるとことか最高ぎみですし。

ただ全編にわたって不快なオッサンがスクリーンに居るわけですよ。
もうね、アメをベロベロなめたりするわけですよ。
そんでね「僕は人間の子供になりたいんだ!」とか言うわけですよ。
いや無理。絶対無理。だってオッサンじゃん、オマエ。
とかわかってるんだけど、素で突っ込まないとどうしようもない勢い。

子供向けとして、また童話の実写化として、その出来を考える以前に
大きな壁がある作品。

その一点の圧倒的な違和感の突出が、間違いなくカルトとしての勢いを持つ
数年に1度の怪作と言っても過言ではないわけで、そういう困った趣向のある人には
是非おススメしておきたい一本ではあります。

(2003 04/02)
監督:ケヴィン・ドノヴァン
ジャッキー御大がドリームワークスと夢のタッグ。ヒロインには
ジェニファー・ラブ・ヒューイットを迎えつつも、やってることはいつもと同じ。

とりあえず頭に出るのがゴールデンハーベストの四角だろうがドリームワークスの月で
あろうが御大にはまったく関係がない、というのが判明。
ジャッキーが主演する時点で全てはジャッキー映画になるわけで、作品の持つ
雰囲気まで一貫してしまうのはある意味やはり巨匠の領域。

特に今回のように、普通の平凡な男が何かの外的要因によってスーパーマンになる、
という時の御大の演技の無敵ぶり、「俺はこんなにダメ男なのに、勝手に体が動くよー
みたいな感じのを演じたときの一周回って嫌味に見えない御大はステキすぎです。

ただ、やはり寄る年波、といってしまうのはあまりに悲しいのですが、
その節度のなかったアクションは影を潜めつつある感はやはり否めないわけで、
米的コメディの中で活きるアクションとして一種のまとまりを見せつつあるのが
やはりちょっと物足りないわけです。

ストーリーは、いつも通りとてもストーリーと呼べるレベルのものではなくて
悪いミネラルウォーター会社の社長が、飲むと脱水症状を起こすバクテリアを開発、
それを水源にバラ撒いて、当社の水がバカ売れですよガハハ、みたいな話で商売って
大変なんですね、みたいなどうでも良い感想とか湧いたり湧かなかったり。
で、その悪徳企業を調査してるのがジャッキーが運転手をしているジェイソン・アイザックス
なんですが謎の爆発で重傷、後を御大に託す、という話。

あとはジェニファー・ラブ・ヒューイットの表情が味があるなあ、とか
ジェームス・ブラウンの変わりに、ソウルフルに踊る御大とか、
色々見所があるようで、そうでもない作品。

(2003 04/02)
監督:デヴィット・トゥーヒー
『π』のダーレン・アノロフスキー共同脚本・製作の潜水艦ホラー。
トゥーヒー監督はどちらかと言えば脚本家としてのキャリアの長い人。

これ以上でもなくこれ以下でもない雛型的潜水艦ホラー。
というか安心して見れる潜水艦ホラーサスペンスというか。
それなりにきちんと始まって収まって行くんですが、
終わった後にすっぱり全部忘れている勢い。ああ、そうですか、みたいな。

その「潜水艦で怖いものベスト2」みたいな要素、
1つめがその中で一番偉い人が実はどうしようもない人だったらどうしよう、
2つめが逃げ場のない海底で何かわけのわからないものが襲ってきたらどうしよう、
がガッチリ詰めこまれてて、話がダレることはないんですが
わりとキャラクタ達が希薄で、別に誰か死んでも「ああ死んだ」みたいな。
そして往々にしてキャラ分けが弱いので、あれこいつ生きてたっけみたいな。

最後のほうになってくると、そういう主要人物の生死とか割と気にならなってくる
あたりで人間ドラマとして弱いなあ、と。

ただ、その個々のホラー要素というのが、もう、「ハリウッド怖がらせ方辞典」
みたいな辞書を引いて作ったようでちょっと笑えます。

突発的何かが発生→実は何かが落ちただけ→ちょっと安心→次の瞬間にウアーな展開

つー方程式が片手で足りないぐらい登場するのは、もう、どうかと。

個人的にいいなあ、と感じたのは、ダーレン節なのかはどうかはわからんのですが
潜水艦の機械的な部分が、ガチャガチャ動く描写がとても心地良かったんですが、

あとサスペンスな部分は火曜サスペンスよりちょっと上ぐらいのオチが用意されて
るんですが、ホラーのほうの要素が最後ものすごい適当。いや最初から適当。
ええい、オバケのせいにしとけ、な。

ラスト、大尉が艦橋にひっかかった死体をバンバン撃つとこらへんが
まったく意味不明だけれどもなんかいいなあ、とか、やけくそだなあ、と。

(2003 02/28)
監督:黒沢 清
『回路』から2年ぶりの新作。役者陣にオダギリジョー、浅野忠信、藤竜也。
そして全編DV撮影。

漠然とした現在みたいなものの微妙なデフォルメではあるんだけど、
これが結構直に刺さってくるという、もう直撃してしまった気がする作品。
変化球と思わせて実はストレートみたいな。

とにかく黒沢作品の心地悪さの表現っつのは毎回大ダメージを受けるんですが。
前半の浅野忠信演じるところの有田がフェードアウトするまでのその違和感的映像の
素晴らしいまでの気持ち悪さっていうのは、意味を持った映像としてすさまじい
勢いだと思うのですが。
けれども、キャラクタはその状況に明確なリアクトを見せず、ただ淡々としていると見せて
突然爆発だけはしてしまう、その感じがたまらなく良いというか好きというか納得というか
往々にして実際そんな感じがするというか。

物語が転がってから、核心に入って行くわけですが、ここら辺からもう
割と何が何やらの感じになってきて、それでいてガッチリと収束していく。
ただ今回はタイトルの「アカルイミライ」というのが何か絶対的テーマのごとく
あらかじめ吸収されてしまうんで、この強烈なタイトルに縛られてしまうのが
やや危険。言い切られてしまっているので。それを探してしまうのはツラい。

言葉で作った言葉でない部分とかが、もうたまらなく良くて、
それがこの朴訥とした役者陣によって雰囲気として完成しているあたりが最高。

出来る限りサブテキストやら、人の意見を無視して見たほうが良いと思った。
不可解ではあっても感